Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年1月27日 No.3530  OECD & BIAC CDEPの活動に関する懇談会

経団連は12月21日、OECD & BIAC(注1) CDEP(注2)の活動に関する懇談会をオンラインで開催した。横澤誠BIAC CDEP共同議長(デジタルエコノミー推進委員会企画部会国際戦略ワーキング・グループ主査)から、2021年のOECD CDEPの活動概要について、また、飯田陽一OECD CDEP議長(総務省国際戦略局情報通信政策総合研究官)から、デジタル政策に関連する今後の国際会合について、それぞれ説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ OECD CDEPの21年の活動概要(横澤主査)

CDEPはOECDの委員会の一つであり、デジタル経済に関する政策課題や、デジタル化が社会・経済に与える影響等について議論している。OECD CDEPには複数の作業部会が下部組織として設置されており、AIに関する作業部会が22年に設置される予定である。21年10月下旬から12月にかけて、各作業部会ではデジタル政策に関するさまざまな課題について議論が行われた。

計測分析作業部会では、エビデンスベースのデジタル政策について議論した。トラストの計測方法に関する論点については、客観的な数値のみでトラストを計測することは難しく、主観的な記述回答が得られるアンケートの実施が必要であるとの意見がまとまった。トラストについては、各国・各機関で統一的なトラストの定義がなされていないため、トラストの要素の見える化が重要であると、BIACからもOECDに対して意見を提出している。

また、セキュリティ作業部会では、ランサムウエア等のサイバー攻撃の現状やIoTに関するセキュリティの問題について議論した。ここでの議論をもとに、セキュリティに関するレポートや各国が取り組むべきセキュリティポリシーを今後も作成し、発信していく。

さらに、データガバナンスとプライバシー作業部会では、1980年にOECDが策定した「プライバシーに関する8原則」に記載されている適用方法に関する項目について、どのように解釈し直すかを検討した。また、TVEC(注3)の適切な抑止に向けた方策について、事業者の役割と法規制のあり方の両面を尊重しつつ議論した。

■ デジタル政策に関する国際会合の今後(飯田氏)

2022年のOECDのCDEP閣僚会合は、スペインで開催される予定である。CDEP閣僚会合が前回開催された16年以来、各国でデジタル政策が強力に推進されるなか、CDEPでもさまざまな政策課題が検討され、大きな成果をあげている。19年のAI原則の策定はその代表的な成果であり、現在は水平プロジェクトとして「Going Digital Ⅲ」がデータガバナンス全般の議論も行っている。閣僚会合ではこうした政策議論の成果を総括し、今後の数年間にわたるグローバルなデジタル政策の方向性を示したい。

23年のG7はわが国が議長国を務める予定である。その際、デジタル関係の会合が開かれるかは未定であるが、開催された場合は、過去数年間の国際的なデジタル政策に関する議論を総覧するとともに、その議論をG20でも共有していきたい。

また、インターネット全般について議論する国連のIGF(Internet Governance Forum)が、23年にわが国で開催される予定である。そこでもG7やOECDの議論の成果を発信したい。IGFは官民会合であるため、産業界からも積極的な参加、支援をしてほしい。

(注1)Business and Industry Advisory Committee、OECDの公式諮問機関

(注2)Committee on Digital Economy Policy、デジタル経済政策委員会

(注3)terrorist and violent extremist content、テロリストや暴力的な極右極左コンテンツのこと

【産業技術本部】