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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年2月10日 No.3532 Society 5.0時代のヘルスケアⅢ〈1〉 -各論~健康管理・増進

経団連は1月18日、オンラインと対面を柔軟に組み合わせた、利便性の高い新たなかたちのヘルスケアの実現に向けて、提言「Society 5.0時代のヘルスケアⅢ~オンラインの活用で広がるヘルスケアの選択肢」を公表した。そこで、同提言の内容について、企業の取り組みも交えながら7回にわたり紹介する。初回は、「健康管理・増進」を取り上げる。

■ 社会的意義

オンラインを活用した「健康管理・増進」として、スマートフォンアプリによるヘルスケアプラットフォームが注目されている。利用者は、アプリのプラットフォーム上で、日々の健康管理から受診、治療まで一気通貫して行い、そのデータを管理することができる。また、データに基づきその時々の状況にあった適切なレコメンド(助言)が得られ、判断に迷うことなく必要なヘルスケアにアクセスできるようになる(図表1参照)。結果として、疾患の早期発見・治療が可能となり、個々人の未病・予防に対する意識の高まりと行動変容によるさらなる健康増進が期待できる。

「健康管理・増進」の目指す姿

■ 企業の取り組み~KDDIの事例

auウェルネスの機能イメージ

KDDIでは、スマートフォンアプリ「auウェルネス」を入口に、個人の状態に即したトータルなヘルスケアサービスを提供している。歩数・距離・消費カロリーの自動入力や、オンラインエクササイズへの参加といった日々の健康管理の促進をはじめ、健康面で気になることがあれば、24時間・年中無休の健康電話相談や、AI受診相談も利用できる。いざという時には、オンライン診療の予約・問診・診察・決済・調剤薬局への処方箋送付、その後のオンライン服薬指導や決済までをスマホひとつで一貫して行うことが可能である(図表2参照)。同社の田口健太サービス統括本部担当部長は、「コロナ禍で、運動機会の減少や感染リスク回避による受診控えなど個人の健康管理環境が悪化した。手元のスマホひとつで日常の健康活動からいざという時の医療体験までを支援できれば、健康寿命の延伸にもつなげられるだろう」と、サービスが広がることによる意義を強調する。

■ 課題と提言

KDDIのサービスに代表されるように、健康管理・増進に関するスマートフォンアプリ等へのニーズは拡大しており、新たにサービスを提供開始する企業も増加している。一方、健康に関する指導内容や助言の根拠などサービスの品質はさまざまであるなど、利用者が安心してサービスを選択できる状況とまではいいがたい。自治体や企業がサービスの導入に踏み切れないことも多い。

提言では、オンラインヘルスケアサービスを対象とした新たな認定制度の創設や、導入・利用する際の費用の助成を求めている。これにより、利用者は自分に最適なサービスを安心・信頼して選択できるようになる。サービスを提供する企業にとっても、自社のサービス品質を向上させるインセンティブになる。また、オンライン完結型の健診サービスについて、特定健診事業に関連した取り組みとして評価される仕組みを導入すべきとした。特定健診を受診するハードルが下がり、受診率の向上が期待される。

【産業技術本部】


Society 5.0時代のヘルスケアⅢ(全7回)
〈1〉各論~健康管理・増進
〈2〉各論~診療
〈3〉各論~調剤・服薬指導
〈4〉各論~手術
〈5〉各論~介護
〈6〉各論~治験
〈7〉各論~基盤

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