Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年3月10日 No.3536  廃棄物・資源循環行政の最新動向 -環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会

経団連は2月16日、東京・大手町の経団連会館で環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会(山田政雄部会長)を開催した。環境省環境再生・資源循環局の土居健太郎次長から、廃棄物・資源循環行政の最新の動向について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ プラスチック資源循環法の施行に向けて

「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(プラスチック資源循環法)が今年4月に施行される。同法は、海洋プラスチック問題、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化等を背景として制定された。製品分野ごとに規制する従来の個別リサイクル法と異なり、多様な物品に使用されているプラスチックという「素材」に着目した法律である。同法では、製品の設計からプラスチック廃棄物の処理に至るまで、関与するあらゆる主体による資源循環等の取り組み(3R+Renewable)を促進する措置を講じる。具体的には、製造事業者等による環境配慮設計のさらなる推進や小売・サービス提供事業者等によるワンウエープラスチックの使用合理化、市区町村によるプラスチック資源回収、製造・販売事業者等による製品等の自主回収、排出事業者等による排出抑制・再資源化等である。

プラスチック資源循環においては、事業者・自治体・消費者など幅広い関係者の協力が必要である。政府としても各主体の取り組みの後押しとなるような支援措置を含め、着実な政策運営に取り組む。

■ PCB廃棄物の適正処理のさらなる推進にかかる課題の対応方針

高濃度PCB廃棄物については、処理完遂の最終段階に入っている。2021年11月末時点の速報値で、登録台数に対する処理の進捗率は、変圧器約99%、コンデンサー約98%、安定器・汚染物等約74%となっている。引き続き、処理施設の立地自治体の理解、協力も得ながら、一日も早い処理完了に向け、PCB廃棄物の徹底した掘り起こしをはじめ、あらゆる対策を講じる。

低濃度PCB廃棄物については、PCB処理基本計画に記載された課題への対応のほか、無害化認定施設等での処理実績や課電自然循環洗浄法(※)での実績を踏まえた処理技術の高度化を検討していく。また、低濃度PCBの早期の全量把握に向け、「低濃度PCBに汚染された含有電気機器等の早期確認のための調査方法及び適正処理に関する手引き(仮)」の作成に取り組んでおり、今年度末に公表予定である。

■ 第四次循環基本計画の第2回点検および循環経済工程表の策定等について

廃棄物・資源循環分野にかかわる脱炭素化に向けた動きが出始めている。地球温暖化対策計画では、3R等をはじめとするサーキュラーエコノミーへの移行および循環経済工程表の策定に向けて、具体的に検討することが盛り込まれた。また、中央環境審議会循環型社会部会において、廃棄物・資源循環分野の50年GHG排出実質ゼロに向けた基本的な考え方について議論がなされた。

こうした動きを踏まえつつ、同部会では、案の事前検討段階から広く国民の意見を聴く「パブリックコンサルテーション」を実施したうえで、第四次循環基本計画の進捗状況の評価・点検結果を循環経済工程表として夏ごろに取りまとめるべく審議を進める。

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意見交換では、委員からPCB廃棄物処理やプラスチック資源循環法の施行等にかかる諸課題の解決に向け、産業界と十分に議論することが必要との指摘があった。

意見交換終了後、「循環型社会形成自主行動計画2021年度フォローアップ調査結果」について審議、了承した。

※ 微量のPCBを含む変圧器中の絶縁油をPCBを含まない新油に入れ替え、90日/120日以上の通電を行うことで、使用中のまま無害化する手法

【環境エネルギー本部】