Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年3月17日 No.3537  提言「戦略的なインフラシステムの海外展開に向けて~2021年度版」を公表

経団連は3月15日、提言「戦略的なインフラシステムの海外展開に向けて~2021年度版」を公表した。概要は次のとおり。

■ 多様な課題とリスクを踏まえたインフラシステムの海外展開の推進

わが国企業は、多様な課題とリスクに直面している。例えば、新型コロナウイルス、気候変動問題、地政学上・人権上のリスク、突然の政変等やカントリーリスク、国際標準化・国際ルール整備への関与等である。こうしたなかで、ホスト国の社会課題解決に資する質の高いインフラシステムの海外展開に取り組む必要がある。

経団連はこれまで、政府の「インフラシステム輸出戦略」の改訂に合わせ、毎年度、インフラシステムの海外展開に関する提言を取りまとめ、政府に働きかけてきた。21年から5年間を見据えた「インフラシステム海外展開戦略2025」(20年12月)の改訂が今夏に見込まれることを視野に入れて、各種の施策について要望している。

■ 日本政府・機関等への要望(骨子Ⅱ.1)

  1. (1)新型コロナ対応としては、資金面での支援ならびに在外公館等を通じた支援の継続、人の往来の早期再開の実現を求めている。
  2. (2)喫緊の課題である気候変動については、国内対応とインフラシステムの海外展開との有機的な連動や、JCM(二国間クレジット制度)の活用等を含めたグリーン戦略の推進を要望している。
  3. (3)人権に関するデュー・ディリジェンスのガイダンスの提供などサプライチェーンの強靱化に向けた取り組みを求めている。
  4. (4)国際標準化の推進や自由なデータ流通の確保に向けたDFFT(Data Free Flow with Trust)の具体化などデジタルトランスフォーメーション(DX)への対応、公正な競争環境の確保など国際ルール整備への関与を求めている。
  5. (5)各種の資金等支援では、ODAやJICA海外投融資、JBIC投融資、貿易保険等のファイナンス支援の一層の拡充を要望している。
  6. (6)経協インフラ戦略会議の司令塔機能の強化、トップセールスおよび在外公館等による支援の強化、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)促進に向けた支援強化、O&M(オペレーション&メンテナンス)に関する支援、第三国市場連携等の推進の必要性等を指摘している。

■ ホスト国側の課題の改善に向けた要望(骨子Ⅱ.2)

ホスト国側との川上段階からの連携強化として、官民一体のマスタープラン策定支援に関する提案強化、現地における新型コロナ感染対策の強化、税金をめぐる問題ならびに支払い遅延等の各種トラブルの解決を要望している。これらを解決するうえで、各国の法制度およびビジネス環境の整備、人材育成の強化が重要な課題であることから、わが国政府からの働きかけの継続、各種の支援が不可欠であるとしている。

■ With/Postコロナの時代を見据え今後一層注力すべき分野(骨子Ⅲ)

わが国企業が有する優れた技術や製品・サービス・システムを活かし、諸外国における社会課題の解決に貢献できる余地は大きい。今後注力すべき分野として、グリーン、デジタル、生活・社会基盤インフラ、スマートシティを含む都市開発の4つを挙げている。

【 戦略的なインフラシステムの海外展開に向けて -2021年度版- 骨子 】

Ⅰ. インフラシステムの海外展開に関するこれまでの取り組みと現下の課題

Ⅱ. 戦略的なインフラシステムの海外展開に向けた具体的要望

  1. 対日本政府・関係機関等
    1. (1) 新型コロナウイルス感染症への対応
    2. (2) グリーン戦略の推進
    3. (3) サプライチェーンの強靭化
    4. (4) 国際標準化・国際ルール整備への関与
    5. (5) ファイナンス等の支援強化
    6. (6) 官民一体となった案件の形成
  2. ホスト国側の課題の改善に向けた日本政府・関係機関への要望
    1. (1) ホスト国側との川上段階からの連携強化
    2. (2) 新型コロナウイルス感染症対策の支援
    3. (3) 各種トラブル対処への支援
    4. (4) ビジネス環境の改善(法整備等)
    5. (5) 人材育成の強化

Ⅲ.With/Postコロナ時代を見据え今後一層注力すべき分野

  1. グリーン
  2. デジタル
  3. 生活・社会基盤インフラ
  4. スマートシティを含む都市開発(まちづくり)

【国際協力本部】