Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年3月24日 No.3538  2021年9月度「退職金・年金に関する実態調査結果」を発表

経団連は3月15日、2021年9月度「退職金・年金に関する実態調査結果」を発表した。同調査は、企業における退職金・年金の実態と退職金水準の動向を把握し、制度見直し等の参考のために1973年から実施している(1976年~2018年までは隔年、21年から3年ごとに実施)。21年9月度調査は、経団連の企業会員および東京経営者協会の会員企業のうち276社(従業員500人以上規模72.5%)から回答を得た。概要は次のとおり。

1.標準者退職金

標準者退職金(学校卒業後直ちに入社した後、標準的に昇進・昇格した者を対象に算出した退職金)は、職種別・学歴別のすべての区分で勤続年数の上昇に伴って退職金額が増加している。「管理・事務・技術労働者(総合職)」の60歳では、大学卒(勤続年数38年)が2243.3万円、高校卒(同42年)が1953.0万円となっている。

勤続年数間の増加幅をみると、「管理・事務・技術労働者(総合職)」では、大学卒は勤続年数25年(1209.0万円)と30年(1649.1万円)の間、高校卒は勤続年数30年(1162.7万円)と35年(1542.5万円)の間で、それぞれ最も大きい。

2.賃金改定額と退職金算定基礎額との関係

「賃金改定額とは関係なく別建て」とする企業割合が8割強(82.4%)を占めている。その内訳をみると、「ポイント方式(点数×単価)」を採用している企業が7割強(76.7%)で最も多い。

ポイント方式を採用している企業における配分割合は、各勤続年数・年齢において、「資格・職務要素」が60%台、「年功要素」が20%前後~20%台半ば、「考課要素」が10%前後となっている。経年でみると、勤続年数・年齢の上昇に伴い、「資格・職務要素」の配分割合が徐々に高まる一方、「年功要素」の割合は逓減している。

3.退職金制度の形態

「退職一時金制度と退職年金制度の併用」(66.1%)が最も多い傾向に変わりはないものの、前回18年調査(72.1%)より減少した一方、「退職一時金制度のみ」は前回調査より5.0ポイント増の15.9%であった。

「退職年金制度」を有している企業において、その種類をみると(複数回答)、「確定拠出年金(企業型)」(71.2%)が最も多く、この項目の調査を始めた02年調査以降で過去最高となった。

一方、「確定給付企業年金(規約型)」は42.1%(前回調査比6.3ポイント減)、「確定給付企業年金(基金型)」は24.9%(同1.6ポイント減)でいずれも減少した。

4.確定拠出年金のマッチング拠出導入状況

「確定拠出年金(企業型)」におけるマッチング拠出(事業主の掛金を上回らない範囲で、加入者である従業員も掛金を拠出できる制度)を「導入済み」の企業は、12年にこの項目の調査を開始して以降、増加傾向にあり、21年は過去最高の46.5%となった。

【労働政策本部】