Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年4月14日 No.3541  環境リスク分野における国際的な動向と環境省の最近の取り組み -環境安全委員会環境リスク対策部会

松澤氏

経団連は3月24日、環境安全委員会環境リスク対策部会(川瀬正嗣部会長)をオンラインで開催した。環境省水・大気環境局の松澤裕局長から、環境リスク分野における国際的な動向と最近の取り組みについて説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 決定的な10年間とグローバルな動向

2030年はSDGsの達成期限である。環境分野においても、この10年間は、気候変動はもとより、生物多様性・環境リスク等のさまざまな観点で「決定的な10年間」である。今年開催された第5回国連環境総会においては、環境リスク分野の重要な決議が採択されており、同分野に対する国際的な関心が高まりつつある。環境省としても、重要性を認識し、取り組みを積極的に進めていきたい。

■ 環境省の取り組み

(1)自動車の脱炭素化・排ガス削減

国際的にみると、日本におけるEV等の普及率は低く、35年の新車販売における電動車100%目標の達成に向けて注力する必要がある。再エネ電力の活用により、EV等の走行時における脱炭素化を実現する「ゼロカーボン・ドライブ」を主軸として、支援事業を展開していく。自動車の排ガス対策も重要であり、対策のあり方を継続して検討する。

(2)海洋環境の保全

海洋プラスチック汚染による生態系を含めた海洋環境への影響は大きい。世界全体での対策が急務となっており、日本も主体的に取り組みを進めている。前述の第5回国連環境総会では、日本から海洋プラスチック汚染対策に関する決議案を提出し、議論に貢献した。今後も積極的に国際交渉を進め、多くの国が参加する実効的な国際枠組みづくりを目指す。

また、国内における海洋環境保全の取り組みとしては、昨年の瀬戸内海環境保全特別措置法改正が挙げられる。同改正により、栄養塩類について、きめ細かい管理等が可能となった。関係者と連携し、地域の実情に応じた「里海づくり」を総合的に推進していく。

(3)環境リスク対策

一昨年の大気汚染防止法(大防法)改正により、石綿飛散防止対策が強化されることとなった。建築物の解体工事等においては、石綿の使用有無に関する事前調査結果の報告が事業者に義務付けられる。電子システムの整備等、改正大防法の円滑な施行に向けて対応していく。

光化学オキシダントについては環境基準達成率が依然として低い状況にあり、さらなる削減が必要である。ワーキングプランに基づき、科学的知見を整理しつつ対策に引き続き取り組む。

農薬やPFAS(有機フッ素化合物)等、化学物質に関する対策も開始されており、制度や基準を着実に運用する。

【環境エネルギー本部】