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  5. EUのロシア制裁に関するウェビナーを開催

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年5月26日 No.3545 EUのロシア制裁に関するウェビナーを開催 -EUの制裁が日本企業にどのように影響するのか

経団連の日本ロシア経済委員会(國分文也委員長)は4月22日、EUのロシア制裁に関するウェビナーを開催した。ヨーロッパに拠点を持つ弁護士事務所Van Bael & Bellisのフィリップ・デ・バーレ氏とイサベル・ヴァン・ダム氏から説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ EUの制裁内容と日本企業への影響

EUのロシアに対する制裁はウクライナ侵攻直後から始まっており、現在は第5パッケージまで発表されている。制裁は大きく(1)EUの掲載リストに該当する法人および自然人に対する制裁(2)武器の禁輸や輸出入の禁止にかかわる貿易制裁(3)SWIFT(国際銀行間通信協会)除外をはじめとする金融制裁――の三つのグループに分けられる。EUの制裁は、EU域外には適用されないものの、条件によっては日本企業にも適用される場合もあり得るという点に注意してほしい。特に、貿易制裁において、サプライチェーンがEU域内におよぶ場合、サプライチェーンがEU域内に直接関係していなくても、ロシアの顧客との取引にEUの銀行が関与している場合は制裁の対象となる。日本企業が思わぬ制裁を受けないためにも、サプライチェーンを確認し、EUとのつながりを確認すること、関連する貿易禁止事項に基づき、サプライチェーンにおける製品およびサービスを分類すること、EUを避けたロシアへの代替ルートを確認することといった、事前の調査と対応が必要である。

■ EU制裁の順守を確保するためのデュー・ディリジェンス

ビジネスにおいて、たとえEUとの接点がほぼないような取引であっても、デュー・ディリジェンスを行うことを勧める。制裁の適用対象を知らなかったということは弁明にはならず、正しいステップを踏んでデュー・ディリジェンスを行ったことを証明しなければならない。対応策として、EU制裁コンプライアンス・プログラムに規定されている、コンプライアンス・リスクを特定し緩和するための4段階のアプローチ((1)リスクスクリーニング(2)リスク評価(3)コンプライアンスチェック(4)継続モニタリング)を提案する。取引の前に、これらの(1)~(4)のアプローチを行うことが重要である。その結果、取引のなかでなんらかのリスクがある場合は、そのリスクがどの程度であるかを分類し、リスクを評価する必要がある。もちろん、低リスクであればその取引を進めてよいが、中・高リスクであればその取引の中止というオプションも考えなければならない。

【国際経済本部】

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