Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年10月20日 No.3563  ガブリリツァ・モルドバ首相と懇談 -日本とのビジネスの拡大をめぐり議論

ガブリリツァ首相

経団連ヨーロッパ地域委員会の佐藤義雄委員長、清水章同企画部会長は9月28日、東京・大手町の経団連会館で、来日中のナタリア・ガブリリツァ・モルドバ首相と懇談した。ガブリリツァ首相の発言概要は次のとおり。

今回の来日の主な目的は安倍晋三元内閣総理大臣の国葬儀参列である。これは、モルドバ国民を代表して、これまでの日モルドバ間の関係の発展に向けた安倍元首相の尽力に敬意を表するためである。生前の安倍元首相が掲げていた「価値観を共有する国家間での連携を強化すべき」というビジョンは、今の国際情勢下でこそ必要であると考える。

ロシアによるウクライナ侵略は、モルドバの安全保障ならびに経済成長に多大な影響を及ぼしている。特に、資源が少ないモルドバにとって経済への打撃は非常に甚大である。インフレ率はすでに足元で前年同月比34%となり、GDPも半年間で年率換算8~9%減少した。サプライチェーンには大きな被害があるものの、現在はルーマニアやウクライナと協力し、状況の改善に努めている。

このような危機的状況ではあるが、中長期的に考えればモルドバの未来は明るいだろう。2022年、EUへの加盟を申請し、国の近代化と発展のための大きな改革に取り組んでいる。そうすることで、モルドバを投資機会のあふれる国にしたい。今般のロシアによるウクライナ侵略は、国際的な危機ではあるが、同時にモルドバ国内の改革を加速する機会であるととらえている。エネルギーの供給源の多角化や経済の強靱化に必要な政策を前進させるきっかけとなるだろう。今後はモルドバの地政学的な利点も踏まえ、戦略的な投資の拡大を検討してほしい。

モルドバは、引き続き、日本とのビジネス分野での協力関係の深化を目指している。特に、IT、自動車産業、製薬、再生可能エネルギーなどの分野において、日本との協力の可能性が開かれている。あわせて、海外投資家のため、重要な生産要素を確保するなど、安定した投資環境の整備に努めている。今後の日本企業からの投資の拡大を強く期待している。

【国際経済本部】