Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年12月1日 No.3569  西村経産相との懇談会を開催 -経済産業政策をめぐり意見交換

西村大臣

十倉会長

経団連(十倉雅和会長)は11月7日、東京・大手町の経団連会館で西村康稔経済産業大臣をはじめ副大臣、大臣政務官ら経済産業省幹部との懇談会を開催した。経団連からは十倉会長、冨田哲郎審議員会議長をはじめ副会長・副議長ら22人が出席した。エネルギー、産業競争力の強化、経済安全保障、通商、スタートアップ等について幅広く意見交換した。

冒頭、十倉会長があいさつ。ロシアのウクライナ侵略によって生じた資源や食料価格の高騰は、日本のエネルギー・食料安全保障の問題を浮き彫りにしたと指摘した。また、長期化する新型コロナウイルスへの対応を含めて、「サステイナブルな資本主義の実践」に取り組むことが重要と強調。具体的に、(1)原子力発電所の早期再稼働をはじめとするエネルギーの安定供給(2)産業競争力の強化(3)自由で開かれた国際経済秩序の再構築(4)経済安全保障(5)スタートアップ振興――といった課題を挙げ、これらの解決に向けて、民間投資を促進する環境の整備を政府に求めた。

西村大臣は、目下、日本が直面している危機について気候変動、コロナ禍、ロシアのウクライナ侵略を挙げ、「投資を通じてイノベーションを起こし、現下の危機を乗り越えていくことが極めて重要である」と発言。また、イノベーションの創出に向けて、スタートアップや科学技術に対して政府が呼び水となる投資を行うとともに、人材に対してはリスキリングから転職までを一気通貫で支援し、成長分野への労働移動の円滑化に取り組むとした。

他方、経済界に対する要望として、賃上げ・所得向上の好循環をつくっていくために、より大胆な賃上げを判断するよう求めた。加えて、中小企業の持続的な賃上げには、価格転嫁や取引の適正化が不可欠であるとの認識を示し、「パートナーシップ構築宣言」へのさらなる協力を呼びかけた。

最後に、経産省の最重要課題は東京電力福島第一原子力発電所の廃炉と福島の復興であると指摘。2021年4月に海洋放出の方針が決定された多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)の処分等による風評被害に全力で取り組むとともに、経産省において、現地水産物等の魅力の発信や消費拡大を図る官民連携の枠組みの構築などに着手するとした。

【産業政策本部】