Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年2月16日 No.3579  「サーキュラー・エコノミーの実現に向けた提言」を公表

経団連は2月14日、「サーキュラー・エコノミーの実現に向けた提言」を公表した。提言の概要は次のとおり。

■ 背景、目指すべき方向性

「資源需要の拡大、資源供給の不安定化」「カーボンニュートラル(CN)に向けた資源循環推進の必要性」「資源の循環を産業政策として位置付ける海外の動き」を背景に、日本を含む世界各国で、サーキュラー・エコノミーの重要性が指摘されている。  こうした状況を踏まえ、目指すべき方向性として「資源制約の克服」「環境制約の克服、CNへの貢献」「経済成長、産業競争力の強化」の3項目を掲げ、サーキュラー・エコノミーの実現に向けて取り組むべき課題ならびに必要な施策を9項目にまとめた(図表参照)。

■ 取り組むべき課題、必要な施策

  1. (1)環境配慮設計の促進
    3R(リデュース、リユース、リサイクル)や長期使用の視点を踏まえ、減量化、易解体性、単一素材化、修理性等を確保した設計が重要である。政府には、自主的設計ガイドライン策定に向けた議論の促進や、新素材・新技術の開発に向けた支援を求めたい。

  2. (2)再生材の活用、部品リユースの普及促進
    再生材活用にかかる課題の克服に向け、再生材を用いた製品の積極的な公共調達等や品質に関する規格・基準のあり方を検討する必要がある。また、部品リユースに関し、情報流通プラットフォームの構築やリマニュファクチャリングに取り組む事業者に対して、負担軽減策等の支援を行うべきである。

  3. (3)「利用型ビジネスモデル」の普及促進
    シェアリング、サブスクリプション等の「利用型ビジネスモデル」の環境価値に関する社会的認識向上策、行政による積極的な公共調達を推進すべきである。

  4. (4)消費者の行動変容促進
    消費者に対する環境価値への理解醸成を図るため、官民が協力して、啓発活動・環境教育の促進に取り組むべきである。加えて、製品・サービスにおける「環境価値」の見える化を図るため、環境価値の評価方法・認証制度のあり方について検討する必要がある。

  5. (5)循環資源の効率的な収集、再資源化の拡大
    資源の循環を一層効率的に進めるため、政府において、広域認定制度および再生利用認定制度の周知と、活用促進に向けた制度のあり方を検討すべきである。また、廃棄物処理法にかかる許可・認定の審査効率化に取り組むべきである。

  6. (6)海外における資源循環体制の構築への協力
    地球規模での環境負荷低減の観点から、途上国への技術・ノウハウの移転や、各国の文化や国情に十分配慮した仕組みづくりへの協力を通じ、わが国は、海外における資源循環体制の構築に取り組むことが重要である。

  7. (7)情報流通プラットフォームの構築
    動静脈産業(別掲記事の注を参照)間を含めたサプライチェーン全体での企業間連携のため、情報流通プラットフォームの構築が必要となる。その際、(1)機密情報の扱いを含め、共有する情報の整理・ルール化に向けた動静脈産業間での協議・議論(2)プラットフォーム構築に向けた支援――が重要である。

  8. (8)企業の「循環度」等の評価
    企業のサーキュラー・エコノミー実現に向けた取り組みがステークホルダーから適正に評価される必要がある。そのため、国際的議論と整合性をとりながら、企業のサーキュラー・エコノミーへの貢献度(「循環度」)、およびリサイクルや熱回収による温室効果ガス削減効果の評価方法を検討すべきである。

  9. (9)企業と投資家・金融機関の建設的対話
    国内外のESG(環境・社会・ガバナンス)資金の取り込みに向け、政府においては、(1)サーキュラー・エコノミーにかかる開示・対話ガイダンスの国内普及を通じた企業と投資家・金融機関の協創関係構築の促進(2)ベストプラクティスの国内外への発信と共有――に取り組むべきである。

【環境エネルギー本部】