Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年3月2日 No.3581  CSISとの懇談会を開催 -ウクライナ復興支援に関する日本への期待等を聴く/日本NIS経済委員会

ルンデ氏

経団連の日本NIS経済委員会(國分文也委員長)は2月7日、東京・大手町の経団連会館で、米国戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies, CSIS)のダニエル・ルンデ上級副所長から、CSISが取りまとめたウクライナ復興のあり方等に関する報告書に基づいて、G7議長国である日本への期待等について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 戦後のウクライナが目指すべき姿

ウクライナの復興は、ウクライナの欧州連合(EU)への加盟と整合性を持って進め、復興の過程でEU加盟に至る確固たる道筋をつくる必要がある。また、ウクライナが今回の戦争に勝利した後、15年後にどのような国家になってほしいかという成功のイメージを描くことも重要である。具体的には、1人当たりGDPはポーランド、農業のポテンシャルはカナダ、技術力はエストニア、製造業はドイツ、インフラは日本、軍事産業はイスラエル――に並ぶ水準になることを期待している。そのころには正式に、経済協力開発機構(OECD)およびEUメンバーの一員になっているだろう。

■ G7・B7議長国の日本への期待

2023年、G7・B7などの主要な国際会議の議長を務める日本には、ウクライナ復興について議論をリードする役割が期待されている。具体的には、G7・B7のハイレベルな会議の場で、インフラ再建、ICT、エネルギーに焦点を当てて議論すべきである。G7諸国を中心に、これらの分野へ高いレベルでの投資が行われることで、戦後のウクライナが、ロシアや中国に依存しない形で、EUの基準に沿った再建を果たすことができる。その結果、事業環境の改善や、貿易に関する手続きの簡素化につながり、海外投資家にとってより魅力的な国家に生まれ変わることが期待される。

■ 日本企業のウクライナ進出

現在、ウクライナに進出している日本企業は20~30社程度であるが、隣国のポーランドへは200社以上が進出している。ウクライナも、外国企業にとって、より魅力的な投資環境を整備する必要があるが、国際協力銀行(JBIC)などの機関が関わることで、日本企業がウクライナへ進出する際のハードルも下がると考える。戦争の行方の不確実性やガバナンスの問題から、ウクライナへの投資に対して懸念を持つ日本企業も多いと思うが、ウクライナは今後必ず支援国と共に国内の改革を進め、日本企業が魅力的に感じるような事業環境をつくるだろう。

【国際経済本部】