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Policy(提言・報告書) 総合政策 新内閣に望む

2012年10月1日
一般社団法人 日本経済団体連合会

わが国は内政・外交ともに極めて厳しい状況に直面している。歴史的な水準にある円高が継続している中で、海外経済が減速しており、景気も先行きが懸念される。政治の混迷が続けば、国民生活の安定は揺らぎ、国際的な信任が一段と低下しかねない。また、外交・安全保障問題への適切な対処は喫緊の課題となっている。わが国としては、アジア太平洋地域の平和と繁栄に、積極的に貢献していくべきである。そのためにも日米関係の緊密化を図るとともに、近隣諸国との信頼関係を再構築していくことが不可欠である。

政治が強いリーダーシップを発揮し、下記に掲げる重要政策課題を迅速に推進することが求められている。また、国民・国益本位の観点に立った与野党の協力が不可欠である。まずは、次の国会で特例公債法案の成立に全力を挙げていただきたい。また、衆議院の選挙制度改革も急務である。さらに、三党合意の際の約束に基づき近いうちに国民の信を問うべきである。

1.震災からの本格復興

官民が総力を挙げ、一日も早い被災地の生活再建・産業復興を通じて、震災からの本格的な復興を果たす。また、復興を起爆剤に、産業集積、イノベーションの推進、雇用創出等を図ることで、わが国の創生を実現する。

2.経済成長戦略の実行

名目3%・実質2%以上の持続的成長を確実に実現するため、税・財政・規制改革、金融インフラの整備・強化など、次代を見据えた経済成長戦略の実行に向けたあらゆる施策を同時並行で推進する。とりわけ国・地方をあわせた法人実効税率を国際水準並みである20%台に早期に引き下げる。

また、民間の創意工夫の発揮を通じたイノベーションを加速させ、新しい技術や製品を生み出すような環境を整備する。その一環として、民間がコンテンツなどのクリエイティブ産業・サービスの開発を推し進め、積極的な海外市場への展開を図れるような政策を推進する。以上を実現するため、イノベーション人材・グローバル人材の育成に向け、産官学で教育改革を実行する。

3.エネルギー・環境政策の再構築

国際社会からの期待も踏まえ、経済成長戦略と整合性のとれたエネルギー・環境政策を確立する。

安全性の確認された原子力発電所については、地元の十分な理解を得ながら再稼働を進める。化石燃料の有限性も踏まえ、省エネルギーや再生可能エネルギー技術の開発・普及に最大限努力する。技術革新の阻害要因となりかねない現行の固定価格買取制度、地球温暖化対策のための税は見直す。

原子力を含めた多様なエネルギー源の確保という考え方に立ち、「革新的エネルギー・環境戦略」を抜本的かつ現実的に見直す。

4.社会保障制度改革の推進

「社会保障制度改革国民会議」を早期に発足させ、社会保障給付の一層の効率化・重点化の推進と、自助・共助・公助の役割分担の明確化を基軸とした、持続可能で成長と両立する社会保障制度の再構築を断行する。同時に、財政健全化に向けた取り組みを一層強化する。また、マイナンバー法案の一刻も早い成立を期す。

5.TPP交渉への早期参加を梃子とする経済連携の強化

一刻も早くTPP交渉に参加するとともに、日中韓FTAを着実に進め、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)に向けたルール作りを主導する。同時に日EU・EPA等を推進する。併せて、パッケージ型インフラ輸出や技術協力・人材育成などを促進する。

以上

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