Policy(提言・報告書) 地域別・国別 アジア・大洋州  メコンミッション団長報告

2013年2月12日

  1. 1.2013年2月4日~9日にかけて、140名の経済人とミッションを組んで、ミャンマー、カンボジアのメコン新興国を訪問した。これら成長著しいメコン諸国への経団連会長ミッションの訪問は初めてである。1月の安倍総理のASEAN訪問と麻生副総理・財務大臣のミャンマー訪問と呼応するものでありメコン地域の発展に官民が連携して貢献し、わが国もともに成長しようという意気込みを示すことができた。
    両国では、2015年のASEAN経済統合を念頭に、インフラ整備、ビジネス環境整備、人材育成の3つの分野での協力の推進について集中的に意見交換を行った。

  2. 2.ミャンマーでは、テイン・セイン大統領、トゥラ・シュエ・マン下院議長、テー・ウー連邦連帯開発党第三副議長ほかの主要経済閣僚や立法府の首脳と懇談し、同国の経済発展での日本の役割、特に民間経済界に対する高い期待を実感した。インフラ整備については、企業が水面下で進める案件を紹介し、500億円の新規円借款をティラワ経済特別区開発等に効果的に活用することを提案した。日本企業の中には、ミャンマーで衣料品を生産し、中国市場へ輸出するといった新しいビジネスモデルを展開するところも出てきており、意を強くした。
    ビジネス環境整備では、対応枠組みとしての日本ミャンマー共同イニシアティブの早期立ち上げ、投資協定の早期締結等を提案した。これに対して、トゥラ・シュエ・マン下院議長は、日本の要望を法律に反映し早期に実現したいとの積極的な姿勢を示すとともに、日本企業の迅速な進出についての期待を寄せた。また、ミャンマーが経済成長の根幹と考える人材育成で、即戦力である産業人材の育成支援プログラムを具体化することを約し、高く評価された。
    一連の政府・立法府関係者との懇談の成果を踏まえ、ミャンマー商工会議所連盟との間で、2013年度の日本ミャンマー経済委員会の合同会議の開催、人材育成プログラムでの協力、日本ミャンマー共同イニシアティブの早期立ち上げでの協力などを内容とする覚書を締結した。同会議所連盟からは、今回の会合が画期的で歴史的なものであるとの評価を頂き、大いに意を強くした。

  3. 3.カンボジアでは、フン・セン首相、チャム・プラシット上級大臣兼商業大臣、トラム・イウ・テック公共事業・運輸大臣、ソック・チェンダ首相補佐特命大臣・開発評議会事務局長にお会いし、わが国の直接投資の急増を背景とし、さらにビジネス環境整備に努めてほしい旨を伝えた。その一環として、円滑な事業展開を進める上で、国際的に通用するビジネス環境の確立を求めたいとの考えをお伝えし、理解を得た。
    なお、今回は、昨年10月に逝去されたシハヌーク前国王のご葬儀に相前後する訪問であることから、政府の要人に対してわが国経済界を代表して改めて哀悼の意を表明した。また、今年が日本とカンボジアの友好60周年に当たることから、今回の訪問は、親善の観点からも、極めて高い意義があったと考える。

  4. 4.今回の成果は、日本ミャンマー経済委員会、アジア・大洋州地域委員会、アジアビジネスサミットといった経団連活動に引き継ぎ、反映してまいりたいと思う。
    また、経団連は、引き続き、RCEP、TPPをステッピング・ストーンとするアジア太平洋地域での経済統合の推進とともに、ミャンマー、カンボジアをはじめとするメコン新興国との架け橋となるよう努めてまいりたい。

以上