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Policy(提言・報告書) 環境、エネルギー 地球規模の温暖化対策への貢献 ~日本産業界のさらなる挑戦~

2014年7月7日
一般社団法人 日本経済団体連合会

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1.基本的な考え方

地球規模の課題である温暖化問題の解決に向けては、先進国・途上国を含むすべての主要排出国が実効ある対策を講じていく必要がある。

日本産業界は、これまで、たゆまぬ努力により、優れた省エネ・低炭素技術・製品の開発・普及を通じ世界有数の低炭素社会の構築に貢献してきた。今後とも、これまで育んだ技術・製品に磨きをかけ、低炭素社会のさらなる進展を図るとともに、これを世界に普及させることにより、地球規模での温暖化対策に積極的に貢献していく決意である。

2.地球温暖化対策に関する日本産業界のこれまでの取組み

経団連は地球環境サミットに先立つ1991年、地球環境憲章を制定し、環境保全に向けて主体的な取組みを進めることを宣言した。1997年からはこれを具体化した自主行動計画を推進し着実な成果をあげており、わが国の京都議定書の目標達成にも大きな貢献を果たした。こうした取組みは、IPCC第5次評価報告書において肯定的に記述されるとともに、日本政府からも「十分に高い成果を上げてきた」とされる等、内外で高い評価を受けている。

また、2009年には、COP15(第15回気候変動枠組条約締約国会議)のコペンハーゲン合意に先立ち、地球規模・長期の課題である地球温暖化対策について日本産業界が技術力で中核的役割を果たすため、経団連低炭素社会実行計画の策定を宣言した。現在、54の業種が、(1)国内の事業活動から排出されるCO2の2020年における削減目標の設定、(2)消費者・顧客を含めた主体間の連携の強化、(3)途上国への技術移転など国際貢献の推進、(4)革新的技術の開発、の4本柱から、主体的に取組む内容をメニュー化し、PDCAサイクルを実施しながら、同計画を着実に推進している。

3.取組みのさらなる拡充

気候変動を巡る国際交渉では、2015年12月のCOP21までに、すべての国に適用される2020年以降の国際枠組みについて合意することとされており、今後、わが国でも、2020年以降の温暖化対策の検討が行われる見込みである。

そこで、経団連として、地球規模・長期の温暖化対策に一層の貢献を果たすため、低炭素社会実行計画に基づく取組みのさらなる拡充を図る(「経団連低炭素社会実行計画フェーズII」)。

国内の事業活動からの排出について、従来の2020年目標に加え2030年の目標等を設定するとともに、主体間連携、国際貢献、革新的技術開発の各分野において、可能な限り取組みの強化を図る。

また、実行計画の実効性・透明性・信頼性を確保するため、これまで同様、PDCAサイクルを推進する。その際、国内の事業活動における2030年の目標等については、長期の取組みであることを踏まえ、前提となる条件を明確化し、透明性を確保しながら、社会・産業の構造の変化や技術革新の進捗などさまざまな要因を考慮していくことが一層重要となる。

併せて、主体間連携、国際貢献、革新的技術開発を含む技術による温暖化対策への貢献についてわかりやすく内外に情報発信する。

4.低炭素社会実行計画推進のための環境整備

経団連ではかねてより、低炭素社会実行計画推進のための環境整備を政府に求めてきたが、フェーズIIに取り組むにあたり、以下の通り改めて提言する。

特に、環境との両立を図りながら世界が持続的な経済成長を享受していくためには、技術が大きな鍵となる。わが国が地球規模・長期の温暖化対策に貢献していく力の源泉となるのは、技術の担い手たる産業の活力であり、その維持・強化は極めて重要な課題である。

  1. (1)すべての主要排出国が参加し各国の低炭素化水準が適切に評価される公平で実効性ある国際枠組みの構築に取り組む。技術で世界に貢献するとの考え方に基づき、「Innovation for Cool Earth Forum」の積極活用など、引き続き、攻めの姿勢で温暖化外交を展開する。産業界としても、こうした政府の取組みに積極的に協力していく。

  2. (2)わが国の数値目標は、国際的公平性、実現可能性、国民負担の妥当性を確保し、特定の基準年からの削減率に拘泥することなく、個々の取組みを積み上げて真水で設定する。その前提となるエネルギー政策は、安全性、エネルギー安全保障(安定供給)、経済性、環境適合性(S+3E)の適切なバランスを確保し、成長戦略を実現できる現実的なものとする。そのため、安全性の確保を大前提に原子力を重要なベースロード電源として活用するための環境整備を行う。

  3. (3)政府全体の温暖化政策(地球温暖化対策計画等)において低炭素社会実行計画を産業界の対策の柱に位置づける。産業界の主体的な取組みは、温暖化対策のみならず産業競争力の維持・強化にも大きく貢献する。
    他方、排出量取引制度や地球温暖化対策税、固定価格買取制度は、国民生活や企業活動に多大な悪影響を与えるだけでなく、地球温暖化対策の観点からも極めて問題が多い。すでに導入されている制度は抜本的に見直す。

  4. (4)わが国の優れた低炭素技術・製品が内外に広く普及するよう、国際枠組みも含めた環境整備・支援を行うとともに、低炭素社会実行計画における革新的技術開発分野の取組みを後押しする政策を講じる。

以上

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