Policy(提言・報告書) 総合政策  当面の課題に関する考え方 (2017年12月)

2017年12月4日
一般社団法人 日本経済団体連合会

1.春季労使交渉

わが国企業全体の収益は過去最高を更新し続けており、来年の春季労使交渉に向けて、賃金引上げへの社会的期待がこれまで以上に高まっている。デフレからの完全な脱却と経済の好循環のさらなる拡大のため、経済界は、従来より踏み込んだ処遇改善を図ることで、賃金引上げのモメンタムを一層強めていく。

2.Society 5.0の実現

IoT、AI、ロボット等の革新技術や多様かつ大量のデータの活用によって、政府、産業、社会のデジタル化を進め、経済成長と社会的課題の解決を両立するSociety 5.0(超スマート社会)を実現する。それに向けて、サイバーセキュリティの確保、データ活用のための制度整備、将来の有望成長分野に対する設備投資や研究開発投資の拡大、大学やベンチャー企業等とのオープンイノベーションを促す環境整備を行うとともに、官民による具体的なプロジェクトを推進する。併せて、国連の掲げるSDGs(持続可能な開発目標)が達成された社会の姿としてSociety 5.0を国内外に発信していく。

3.税制改正

平成30年度税制改正において、賃上げや設備投資の拡大に積極的な企業を後押しする大胆な税制措置の実現に向けて働きかける。組織再編やIoTへの投資にかかる税制措置については、多くの企業が活用しやすい措置となるよう要望する。固定資産税については、商業地等にかかる負担調整措置や償却資産に対する課税などに関し、企業の負担軽減となる方向で見直しがなされるように働きかける。

4.消費喚起

GDP600兆円の実現にはGDPの6割を占める個人消費の拡大が不可欠であるとの認識の下、将来不安の解消といった根本的な課題に引き続き取り組むとともに、消費マインドの向上にも努めていく。その一環として、普段より少し豊かな時間を楽しむ「プレミアムフライデー」を2月24日から官民合同で開始した。国民的行事として定着することを目指し、引き続き会員企業に協力を呼びかける。

5.多様な人材の活躍推進と働き方改革

女性の社会進出による消費の拡大や新たな市場の創出等に着目しつつ、女性の活躍をより一層促進する。同時に、LGBTの人々への配慮や、若者、高齢者、外国人、障害者など多様な人材の活躍促進に取り組む。また、長時間労働の是正などの取り組みを強化すると同時に、時間外労働の上限規制にかかる法改正について、企業実務を踏まえた内容とすべく対応を進める。同一労働同一賃金については、日本の雇用慣行に十分留意した法改正とすべく対応を進め、あわせて正社員化など非正規の処遇改善に努める。

6.米国、欧州、ロシアとの経済関係

米国政権・議会との関係を構築し、経済関係をより強靭なものとすべく、先のミッションの成果などを踏まえ働きかけを強化する。アジア太平洋地域における包括的で高水準の貿易投資に関するルールづくりを前進させるため、TPP11の早期署名・発効を求めていく。大枠合意した日EU EPAの可能な限り早期の批准・発効を働きかけるとともに、英国のEU離脱に伴う経済へのマイナスの影響を最小限に抑えるべく、暫く現状を維持する移行措置への早期合意を含む柔軟な対応を求めていく。ロシアとの8項目の「協力プラン」の実現に積極的に協力するとともに、ロシアにおけるビジネス環境の改善を引き続き働きかけていく。

7.アジア諸国との経済関係

世界経済のけん引役として期待される、中国、韓国、インド、ASEANをはじめとするアジア諸国との緊密で互恵的な関係を更に強化・発展させていくことは、わが国の成長戦略としても極めて重要である。経団連としても、地域経済統合の推進、インフラ整備の促進をはじめ、各国の官民リーダーとの政策対話を通じて、協力関係の促進に取り組んでいく。

8.国家的イベントの成功

東京オリンピック・パラリンピック等の成功に向けて、「オリンピック・パラリンピック等経済界協議会」などを通じて、全国的な機運の醸成とレガシー形成に取り組む。また、万国博覧会の大阪・関西誘致に向けて、「2025日本万国博覧会誘致委員会」と協力し、BIE(博覧会国際事務局)加盟国への働きかけを行う。

以上