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Policy(提言・報告書) 総合政策 当面の課題に関する考え方 (2020年2月)

2020年2月10日
一般社団法人 日本経済団体連合会

1.日本経済の現状と見通し

景気は、中国経済をはじめとする海外経済の減速や米中貿易摩擦の影響等を受けて、輸出・生産等で弱さが長引いており、景況感も悪化傾向にある。とりわけ、新型肺炎の拡大が経済活動に与える影響や、中東情勢を含む地政学リスク、海外経済の先行きの不透明さ、これらに伴う輸出・生産の動向、消費税率引上げ後の動向等に引続き留意が必要である。

ただし、先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くこと等を背景に、緩やかな回復傾向が続くことを期待する。

2.Society 5.0の実現

デジタル革新と多様な人々の想像力・創造力の融合により、社会課題の解決と新たな価値の創造を図る未来の社会の姿=Society 5.0を、国連の掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の達成にも貢献する日本発のコンセプトとして、国内外に発信し普及浸透を図る。同時に、経済社会のあらゆる側面でのデジタル革新と多様化を進め、国内外の多様な主体と連携してSociety 5.0の実装を加速する。このため、産業構造の変化を含めたSociety 5.0の具体像とその実現に向けた取り組みを、経団連を挙げて検討し、実行していく。

3.エネルギー・環境問題

国内外の状況やわが国固有の事情を踏まえS+3Eを同時達成すべく、国際的に遜色ない価格での安定したエネルギー供給の実現と、そのための投資環境整備の一環として、持続可能な電力システム構築や再生可能エネルギーの主力電源化に向けた制度改革を働きかける。「チャレンジ・ゼロ」構想等を通じてイノベーションを軸とした気候変動対策を官民一体で推進するなど、環境と成長の好循環の実現に取り組む。レジ袋有料化義務化に関し、施行日が事業者の準備期間等を考慮して本年7月1日とされたことは評価でき、今後、国民理解の増進に向けて、政府を中心に周知活動を行っていく必要がある。

4.働き方改革とダイバーシティの推進

働き方改革関連法への企業の対応を支援するため、政府に様々な働きかけを行うとともに、裁量労働制の対象拡大のための法案の再提出を求めていく。さらに、ハラスメント防止指針の周知、新たな外国人材の受入れ制度への動きへの対応をはじめ、女性、若者、高齢者、外国人、障がい者、LGBTなど多様な人材の活躍推進(ダイバーシティ)に取り組む。この他、今後求められる人材像や中長期的な採用、大学教育改革のあり方等について、大学との対話を進める。

5.春季労使交渉

2014年以降、企業は収益拡大の果実を処遇改善の形で社員へ分配し、デフレ脱却と経済の好循環の実現に貢献してきた。2020年の春季労使交渉においても、経団連は経労委報告などを通じて、賃金決定の大原則に則りながら、賃金引上げのモメンタムの維持に向けて、自社の実情に応じた検討を呼びかける。あわせて、働き手の職場環境の整備や能力開発に資する総合的な処遇改善にも積極的に取り組んでいく。

6.主要国との経済関係

日米貿易協定等に基づき、米国との協力関係を一層強化すべく、様々なレベルでコミュニケーションを密にする。また、米中関係や機微技術に関わる米国の政策動向を注視していく。日EU EPAを基盤に欧州との協力関係を深化・拡大させる。英国のEU離脱を受けて、英国EU FTAならびに日英EPAの早期実現を含む各種の対応を求めていく。ロシアとの8項目の「協力プラン」の実現に積極的に協力するとともに、ロシアにおけるビジネス環境の改善を引続き働きかけていく。

中国をはじめ、世界経済のけん引役として期待されるインド、ASEAN等のアジア諸国との緊密で互恵的な関係を更に強化・発展させていく。

7.ルールに基づく国際経済秩序の維持・強化

アジア太平洋地域における貿易投資に関するルールづくりを推進するため、TPP11の参加国の拡大ならびに16カ国によるRCEPや日中韓FTAの早期実現を求めていく。また、多角的自由貿易体制の中核であるWTOの改革を働きかける。さらに、質の高いインフラ輸出の拡大に向け、国内・各国の官民リーダーとの政策対話を通じて、協力関係の促進に取り組んでいく。

8.国家的イベントの成功

今夏に迫った東京オリンピック・パラリンピックの成功を、日本経済活性化とその後の成長につなげるべく、政府や関係組織と一体になって取り組む。

9.防災・減災、国土強靭化

近年の大規模自然災害を踏まえ、被災者救済や被災地域の復旧はもとより、防災・減災、国土強靭化に万全を期する必要がある。補正予算の執行や、「国土強靭化基本計画」の着実な実行に加え、安心・安全の確保に向けたわが国レジリエンスの一層の強化を図るため、デジタル技術のさらなる活用やイノベーション推進を含めた必要な対策の早期策定を働きかけるとともに、企業の取り組みを促進する。

以上

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