1. トップ
  2. Policy(提言・報告書)
  3. 総合政策
  4. 当面の課題に関する考え方

Policy(提言・報告書) 総合政策 当面の課題に関する考え方 (2020年5月)

2020年5月11日
一般社団法人 日本経済団体連合会

1.日本経済の現状と見通し

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が継続、感染拡大防止のため、国内外での経済活動が大幅に縮小し、日本経済は急激に悪化、非常に厳しい状況にある。

先行きは感染拡大の今後の動向に大きく左右されるが、治療薬やワクチンが普及するまでは、経済活動の再開は段階的となる可能性が高い。まずは、給付金の支給等補正予算の早期執行が求められる。さらに、経済活動の自粛に伴う国民生活、企業の資金繰り等への影響を注視し、追加対応を機動的に講じる必要がある。

2.新型コロナウイルス対策

新型コロナウイルス感染症拡大は、世界的に収束の兆しが見えず、世界全体の人々の生活や経済社会に甚大な影響を及ぼしている。

国内においては、緊急事態宣言の下、一日も早く拡大を抑制するとともに、段階的に経済活動を活性化していく必要がある。

経団連は、感染拡大防止策の徹底、医療物資の提供、業種別ガイドラインの策定など、国民の生命と生活を守るための社会的な使命を果たすよう、率先して行動していく。また、サプライチェーンを含む事業継続や雇用の維持、経済の回復に向けて、新型コロナウイルス会議をはじめ各委員会が総力を結集して、難局打開に必要な政策の検討を行い、政府・与党に対する働き掛けを強化する。

3.デジタル革新の加速によるSociety 5.0の実現

新型コロナウイルス感染症対策において、デジタル革新が極めて有効であることが世界各国で実証されている。医療、教育、行政、金融、産業等の各分野において徹底した規制改革とデジタル化・データの共有等を進め、強靭な経済社会を構築する。中長期的には、デジタル革新により様々な社会課題を解決し、より人間的で幸福な社会、すなわちSociety 5.0を実現する。このため、産業構造の変化を含めたSociety 5.0の具体像とその実現に向けた取り組みを、経団連を挙げて検討し、実行していく。

4.エネルギー・環境問題

新型コロナウイルス感染症をめぐる動向を注視しつつ、ポストコロナの時代も見据え、脱炭素化に資する、国際的に遜色ない価格での安定したエネルギー供給の実現と、そのための投資環境整備を働きかける。その中で、高度でレジリエントな電力システム構築や再生可能エネルギーの主力電源化に向けた制度改革の着実な推進を図る。「チャレンジ・ゼロ」構想等を通じてイノベーションを軸とした気候変動対策を官民一体で推進するなど、環境と成長の好循環の実現に取り組む。

5.働き方改革・ダイバーシティの推進

新型コロナウイルス感染症拡大防止に向け、テレワークの導入・拡大を呼びかけるとともに、雇用調整助成金等の支援策を最大限活用し、雇用維持を働きかける。また、裁量労働制の対象拡大のための法案の再提出を求めていく。さらに、6月施行のハラスメント防止措置義務の周知、新たな外国人材の受入れ制度への動きへの対応をはじめ、女性、若者、高齢者、外国人、障がい者、LGBTなど多様な人材の活躍推進(ダイバーシティ)に取り組む。この他、今後求められる人材像や中長期的な採用、大学教育改革のあり方等について、大学との対話を進める。

6.主要国との経済関係

新型コロナウイルス感染症拡大防止および経済活動の再開に関し、各国との連携を推進する。

日米貿易協定等に基づき、米国との協力関係を一層強化すべく、様々なレベルでコミュニケーションを密にする。また、米中関係や機微技術に関わる米国の政策動向を注視していく。日EU EPAを基盤に欧州との協力関係を深化・拡大させる。英国のEU離脱を受けて、英国EU FTAならびに日英EPAが移行期間内に遅滞なく実現するよう対応を求めていく。ロシアとの8項目の「協力プラン」の実現ならびに「日露地域交流年(2020~21年)」に積極的に協力するとともに、ロシアにおけるビジネス環境の改善を引続き働きかけていく。

中国をはじめ、世界経済のけん引役として期待されるインド、ASEAN等のアジア諸国との緊密で互恵的な関係を更に強化・発展させていく。

7.ルールに基づく国際経済秩序の維持・強化

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う保護主義的な動きを阻止し、信頼に基づく国際協調を強化し、自由で開かれた「ポストコロナ」の国際経済秩序を再構築する。その一環として、アジア太平洋地域における貿易投資に関するルールづくりを推進するため、TPP11の参加国の拡大ならびに16カ国によるRCEPや日中韓FTAの早期実現を求めていく。また、多角的自由貿易体制の中核であるWTOの改革を働きかける。さらに、質の高いインフラ輸出の拡大に向け、国内・各国の官民リーダーとの政策対話を通じて、協力関係の促進に取り組んでいく。

8.国家的イベントの成功

政府や関係組織と一体になって来年夏の東京オリンピック・パラリンピックの開催と成功に向けて万全を期し、日本経済活性化とその後の成長につなげていく。

9.防災・減災、国土強靭化

新型コロナウイルス感染症や近年の大規模自然災害を踏まえ、被災者・感染者救済や地域の復旧はもとより、防災・減災、国土強靭化、事業の維持・継続に万全を期する必要がある。補正予算の執行や、「国土強靭化基本計画」の着実な実行に加え、安心・安全の確保に向けたわが国・社会のレジリエンスの一層の強化を図るため、デジタル技術のさらなる活用やイノベーション推進を含めた必要な対策の早期策定を働きかけるとともに、企業の取り組みを促進する。

以上

「総合政策」はこちら