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Policy(提言・報告書) 総合政策 当面の課題に関する考え方 (2021年3月)

2021年3月8
一般社団法人 日本経済団体連合会

1.日本経済の現状と見通し

日本経済は、今年1月の二度目の緊急事態宣言等により、個人消費が下押しされ、対面型のサービス業を中心に、依然として厳しい状況にある。他方で、輸出や生産は、海外経済の回復に伴い、増加基調が続いている。

先行きは、国内外での新型コロナウイルス感染症の拡大、ワクチンの普及などに左右されるが、個人消費が回復に転じ、景気が持ち直していくことを期待。

引き続き、官民一体となって、感染防止対策を徹底しつつ、経済への影響を最小限に抑えることが最優先課題である。政府においては、企業の事業継続や雇用維持、医療提供体制の確保、幅広い国民への円滑なワクチン接種に向けた取り組み、出入国制限の適切な緩和など、必要な施策を速やかに執行することが求められる。経済界としても、テレワークの推進等のガイドラインの徹底をはじめ、経済の正常化に向けた積極的な協力を行っていく。

2.ポストコロナを見据えた成長戦略

新型コロナウイルス感染症は、それ以前から進行していた格差問題や地球環境問題等に象徴されるような、株主至上主義の限界を顕在化させた。足元の新型コロナ感染症の拡大抑制と経済活動の両立のための取り組みと並行して、あらゆるステークホルダーの包摂と協創によるサステイナブルな資本主義の確立を目指した成長戦略に取り組む必要がある。経団連としては、「。新成長戦略」に示したDXによる新たな成長、働き方の変革、地方創生、国際経済秩序の再構築、グリーン成長の実現を5つの柱とする2030年の未来社会像の実現に向けて、今すぐ実行可能なアクションから果敢に実行に移していく。

3.デジタル革新の加速によるSociety 5.0の実現

新型コロナウイルス感染症対策において、デジタル革新が極めて有効であることが世界各国で実証されている。医療、教育、行政、金融、産業等の各分野において徹底した規制改革とデジタル化・データの共有等を進め、強靭な経済社会を構築する。中長期的には、デジタル革新により様々な社会課題を解決し、より人間的で幸福な社会、すなわちSociety 5.0を実現する。このため、デジタル革新により新型コロナウイルス感染症を乗り越え、その先に築くべき新たな社会、Society 5.0の具体像とその実現に向けた取り組みを、経団連を挙げて検討し、実行していく。政府が新たに設置するデジタル庁において、こうした施策が検討されるよう、政府に働きかける。

4.エネルギー・環境政策の再構築

経済と環境の好循環を創出し、2050年カーボンニュートラルを目指す。グリーン成長を国家戦略の柱とし、国際連携を図りつつ、「チャレンジ・ゼロ」等を通じてイノベーションを軸とした気候変動対策を官民一体で推進する。エネルギー基本計画の見直し等の政府の議論に対応しつつ、高度でレジリエントなエネルギーシステムの構築に取り組む。電力投資環境の整備、送配電網の次世代化、再生可能エネルギーの主力電源化、安全性が確認された原子力発電所の再稼働等を図る。

環境省、経産省と設立した「循環経済パートナーシップ」の活動を通じ、官民連携による循環経済(サーキュラーエコノミー)への取組み強化を図る。

5.働き方改革と人材育成

政府が今般、雇用調整助成金特例措置の4月末までの延長や、求職者支援制度の特例措置の導入等からなる「新たな雇用・訓練パッケージ」をとりまとめたことを評価する。経団連としては会員企業に対して引き続き、雇用調整助成金特例措置や1月に創設された産業雇用安定助成金の活用等により、在籍型出向も含めた雇用維持を働きかける。一方、雇用保険制度の財源が枯渇化していることから、思い切った一般財源の投入を政府に求める。

また、働き手のエンゲージメント向上に着目し、働き方改革の深化を促す。その一環として、場所と時間にとらわれない働き方を推進すべく、テレワークを巡る人事評価・労務管理上の課題について検討するとともに、裁量労働制の対象拡大等、自律的・主体的な働き方に適した新しい労働時間制度の実現を目指す。

新たなインターンシップのあり方に関する産学の共通理解の確立や、ジョブ型採用に繋がるインターンシップ実施、オンライン教育の課題整理、大学等と連携したリカレント教育の拡充、組織対組織の産学連携の推進など、産学協議会の10のアクションプランを実行し、産学連携でSociety 5.0を支える人材を育成する。

6.春季労使交渉・協議

本格的なコロナ禍の下で行われている2021年春季労使交渉・協議にあたり、事業継続と雇用維持を念頭に置きながら、経労委報告等を通じて、「賃金決定の大原則」に則り、自社の実情に適した対応を引き続き呼びかける。あわせて、働き手のエンゲージメント向上の観点から、社員の健康維持や自律的なキャリア形成支援に資する総合的な処遇改善を働きかけていく。

7.主要国との経済関係

新型コロナウイルス感染症の克服や経済の回復を早期に実現し、自由で開かれた国際経済秩序の再構築ならびにグローバルな諸課題の解決に向け、緊密な国際協調を求めるとともに各国経済界との間での連携を推進する。

米国新政権下での更なる日米関係の強化に向けて、様々なレベルでコミュニケーションを緊密に行う。発効した日英EPAならびに暫定発効した英国EU FTAに基づき、引き続きEU諸国ならびに英国との貿易投資の拡大を目指す。ロシアとの8項目の「協力プラン」の実現等に協力するとともに、ロシアにおけるビジネス環境の改善を引続き働きかけていく。

最大の貿易相手国である中国、一段の成長が期待されるインド、多様な可能性を備えるASEAN等との経済関係を堅持し、さらなる発展に努める。関係国と連携し、自由で開かれたインド太平洋の実現を目指す。

8.ルールに基づく国際経済秩序の維持・強化

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う保護主義的な動きを阻止し、信頼に基づく国際協調を推進することで、コロナの下での自由で開かれた貿易投資を実現する。その一環として、アジア太平洋地域における貿易投資に関するルールづくりを推進するため、RCEPの早期発効及びインド参加の働きかけ、英国のCPTPP加盟の早期実現や米国の復帰を含む参加国の拡大、ならびに日中韓FTAの早期実現を求めていく。また、多角的自由貿易体制の中核であるWTOに対し、新事務局長の下、改革の断行を働きかける。さらに、コロナの影響で中断・遅延した海外インフラプロジェクトの再開に政府とも連携して取り組むとともに、質の高いインフラ輸出の拡大に向け、国内・各国の官民リーダーとの政策対話を通じて、協力関係の促進に取り組んでいく。この前提として、政府と連携して経済安全保障の確保に向けた取組みを強化する。

9.国家的イベントの成功

政府や関係組織と一体になって今夏の東京オリンピック・パラリンピックの開催と成功を目指し、日本経済活性化とその後の成長につなげていく。

10.防災・減災、国土強靭化

新型コロナウイルス感染症や近年の大規模自然災害を踏まえ、被災者・感染者救済や地域の復旧はもとより、防災・減災、国土強靭化、事業の維持・継続に万全を期す。わが国経済社会のレジリエンスの一層の強化を図るため、政府方針の着実な実行を働きかけるとともに、あらゆる非常事態を想定した「オールハザード型」BCPの策定やサプライチェーンの強靭化など、事業継続に向けた企業の取り組みを促進する。

以上

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