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Policy(提言・報告書) 総合政策 当面の課題に関する考え方 (2021年9月)

2021年9月6
一般社団法人 日本経済団体連合会

1.日本経済の現状と見通し

日本経済は、新型コロナウイルス感染拡大防止策の継続により、対面型のサービス業を中心に、依然として厳しい状況にある。他方で、輸出や生産は、国内の生産活動の持ち直しや海外経済の回復に伴い、増加基調が続いている。

先行きは、各国のワクチン接種の進展により、持ち直していく見込み。回復ペースは、国内外での変異株を含む感染症の拡大、ワクチンの普及状況、医療提供体制の整備状況などに左右される。

緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の下でも、官民一体となって感染防止対策と経済活動の両立を図る必要がある。政府においては、Withコロナにおける社会経済活動の活性化に向けて、ワクチン接種の加速とともに、罹患者の早期治療を可能とする医療提供体制の整備、抗原簡易キットに関する販売方法等の規制緩和による検査の拡充、出入国制限の適切な緩和やワクチンパスポートの実現など、必要な施策を速やかに検討・執行することが求められる。経済界としても、ワクチン接種への協力、テレワークの推進をはじめ、感染拡大防止と経済の正常化に向けた積極的な協力を行っていく。

2.ポストコロナを見据えた成長戦略

新型コロナウイルス感染症は、それ以前から進行していた格差問題や地球環境問題等に象徴されるような株主至上主義の限界を顕在化させた。足元の新型コロナ感染症の拡大抑制と経済活動の両立のための取り組みと並行して、あらゆるステークホルダーの包摂と協創によるサステイナブルな資本主義の確立を目指した成長戦略に取り組む必要がある。経団連としては、「。新成長戦略」に示したDXによる新たな成長、働き方の変革、地方創生、国際経済秩序の再構築、グリーン成長の実現を5つの柱とする2030年の未来社会像の実現に向けて、今すぐ実行可能なアクションから果敢に実行に移していく。

3.デジタル革新の加速によるSociety 5.0の実現

新型コロナウイルス感染症対策において、デジタル革新が極めて有効であることが世界各国で実証されている。医療、教育、行政、金融、産業等の各分野において徹底した規制改革とデジタル化・データの共有等を進め、強靭な経済社会を構築する。中長期的には、デジタル革新により様々な社会課題を解決し、より人間的で幸福な社会、すなわちSociety 5.0を実現する。このため、デジタル革新により新型コロナウイルス感染症を乗り越え、その先に築くべき新たな社会、Society 5.0の具体像とその実現に向けた取り組みを、経団連を挙げて検討し、実行していく。9月1日に発足したデジタル庁において、こうした施策が検討されるよう、政府に働きかける。

4.グリーン・トランスフォーメーションに向けたエネルギー・環境政策の推進

2050年カーボンニュートラルに向け、経済と環境の好循環(グリーン成長)を創出し、グリーン・トランスフォーメーション(GX)を実現する。経団連として、「カーボンニュートラル行動計画」や「チャレンジ・ゼロ」等の主体的取り組みを進めるとともに、官民連携・国際連携を図りながら、気候変動対策を推進する。脱炭素エネルギーの安価・安定供給を可能とする、高度でレジリエントなエネルギーシステムの構築に取り組む。再生可能エネルギーの主力電源化や安全性が確認された原子力発電所の最大限の活用を通じた電源の脱炭素化、電力投資環境の整備、送配電網の次世代化等を図る。

環境省、経産省と設立した「循環経済パートナーシップ」において、日本企業の循環経済への先進的取組事例を戦略的に発信するとともに、官民対話の開催を通じて、官民連携による循環経済(サーキュラーエコノミー)に取り組む。

5.働き方改革と人材育成

新型コロナウイルス感染症の収束が見通せないなか、経団連としては会員企業に対して引き続き、雇用調整助成金の特例措置や産業雇用安定助成金の活用等により、在籍型出向も含めた雇用維持を働きかける。今後の雇調金特例措置の扱いについては、雇用情勢を踏まえて慎重に検討するとともに、雇用保険制度の財政再建に向けて、一般財源の投入を引き続き政府に求める。

また、働き手のエンゲージメント向上に着目し、働き方改革の深化を促すとともに、イノベーションの源泉となるダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みを加速する。その一環として、場所と時間にとらわれない働き方を推進すべく、テレワークを巡る人事評価・労務管理上の課題について検討するとともに、健康・福祉確保措置の徹底を前提とした裁量労働制の対象拡大等、自律的・主体的な働き方に適した新しい労働時間制度の実現を目指す。

「採用と大学教育の未来に関する産学協議会2020年度報告書」(2021年4月)を受けて、対面とリモートによるハイブリッド型の大学教育の推進や大学等と連携したリカレント教育の拡充、ジョブ型採用につながるインターンシップの試行など、2021年度アクションプランを実行し、産学連携でSociety 5.0を支える人材を育成する。また、学生のキャリア形成支援活動の各類型に対する理解促進などを通じ、新たなインターンシップの実施拡大を目指す。

6.地方創生

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うテレワークなどの新たな働き方の拡大を活かし、地方への人の流れの創出に取り組む。地方の経済団体、自治体、大学をはじめ地域で中核的な役割を果たしている主体との連携を強化し、地域資源とDXを活かした人を惹きつける地域づくりを推進する。

また、大都市への過度な集中を是正し、わが国全体の強靭性を高める観点から、地方自治体の広域連携の推進に資する行政システムのあり方を検討する。

7.主要国との経済関係

新型コロナウイルス感染症の克服や経済の回復を早期に実現し、自由で開かれた国際経済秩序の再構築ならびにグローバルな諸課題の解決に向け、緊密な国際協調を求めるとともに各国経済界との間での連携を推進する。

米国新政権下でのさらなる日米関係の強化に向けて、様々なレベルでコミュニケーションを緊密に行う。日英EPAならびに英国EU FTAに基づき、引き続きEU諸国ならびに英国との貿易投資の拡大を目指す。ロシアとの8項目の「協力プラン」の実現等に協力するとともに、ロシアにおけるビジネス環境の改善を引続き働きかけていく。

最大の貿易相手国である中国、一段の成長が期待されるインド、多様な可能性を備えるASEAN等との経済関係を堅持し、さらなる発展に努める。関係国と連携し、自由で開かれたインド太平洋の実現を目指す。

8.ルールに基づく国際経済秩序の維持・強化

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う保護主義的な動きを阻止し、人権を尊重する経営を通じて信頼に基づく国際協調を推進することで、コロナの下での自由で開かれた貿易投資を実現する。その一環として、アジア太平洋地域における貿易投資に関するルールづくりを推進するため、RCEPの早期発効およびインド参加の働きかけ、交渉開始を控えた英国のCPTPP加盟の早期実現や米国の復帰を含む参加国の拡大、ならびに日中韓FTAの早期実現を求めていく。また、本年11月末の第12回WTO閣僚会議に向け、提言を取りまとめ、多角的自由貿易体制の機能強化を働きかける。さらに、コロナの影響で中断・遅延した海外インフラプロジェクトの再開に政府とも連携して取り組むとともに、質の高いインフラ輸出の拡大に向け、国内・各国の官民リーダーとの政策対話を通じて、協力関係の促進に取り組んでいく。この前提として、政府と連携して経済安全保障の確保に向けた取り組みを強化する。

9.国家的イベントの成功

東京オリンピック・パラリンピック成功のレガシーを形成するとともに、その経験・知見を大阪・関西万博など今後のイベントにも生かし、日本経済・社会の活性化につなげる。

10.防災・減災、国土強靭化

新型コロナウイルス感染症や近年の大規模自然災害を踏まえ、被災者・感染者救済や地域の復旧はもとより、防災・減災、国土強靭化、事業の維持・継続に万全を期す。わが国経済社会のレジリエンスの一層の強化を図るため、政府方針の着実な実行を働きかけるとともに、あらゆる非常事態を想定した「オールハザード型」BCPの策定やサプライチェーンの強靭化など、事業継続に向けた企業の取り組みを促進する。

以上

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