1. トップ
  2. Policy(提言・報告書)
  3. 科学技術、情報通信、知財政策
  4. 「モバイル・エコシステムに関する競争評価 中間報告」及び「新たな顧客接点(ボイスアシスタント及びウェアラブル)に関する競争評価 中間報告」への意見

Policy(提言・報告書) 科学技術、情報通信、知財政策 「モバイル・エコシステムに関する競争評価 中間報告」及び「新たな顧客接点(ボイスアシスタント及びウェアラブル)に関する競争評価 中間報告」への意見

2022年6月10
一般社団法人 日本経済団体連合会
デジタルエコノミー推進委員会
企画部会データ戦略WG

Ⅰ 総論

  • わが国デジタル市場の健全な発展を促すためには、市場の透明性・公正性を高めるためのルール整備が求められる。モバイル・エコシステムに関しても、その特性に配慮した適切な競争環境の整備が重要である一方、事業者に対して過度な規制を課したり、技術的・経済的に実施困難な取組みを求めることは、わが国のデジタル分野におけるイノベーションやDXの停滞を招くおそれがある。デジタル分野の競争に関する規律のあり方を検討する際には、競争政策の目的が、事業者間の公正かつ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を活性化することにあることを改めて確認すべきである。

  • 具体的な法規制の検討にあたっては、あらゆるステークホルダーと十分に議論したうえで、プラットフォームを利用する事業者・消費者はもとより、知的財産権利者等、第三者の利益について十分に考慮することが重要である。また、十分な立法事実があるかどうか精査したうえで、デジタルプラットフォーム取引透明化法や個人情報保護法等、既存の法律や諸外国の法規制との整合性を確保するとともに、規制の対象・範囲を明確にする必要がある。

Ⅱ 「モバイル・エコシステムに関する競争評価 中間報告」に対する意見

1.中間報告に記載の個別事項に対する意見

37ページ「4. 既存の枠組みによる対応の可能性」
  • デジタルプラットフォーム取引透明化法においては「デジタルプラットフォーム提供者がデジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上のための取組を自主的かつ積極的に行うことを基本とし、国の関与その他の規制を必要最小限のものとすること」が規定されている。事業者の自発的かつ積極的な取組みを促進し、事業者・消費者に対する意図せざる影響を最小限に抑えるために、それぞれの課題について、共同規制のアプローチを採用すべき点や、モバイル・エコシステムの特性に配慮すべき点を分析・検討すべきである。

  • 技術変化のスピードが激しいデジタル分野において、新たな事前規制を検討する際には、当該規制の是非や要否、形態等について、あらゆるステークホルダーと十分に議論する場を設けるべきである。

85ページ「4. ブラウザにおけるトラッキングのルール変更(Apple)」
89ページ「5. ブラウザにおけるトラッキングのルール変更(Google)」
  • ユーザー追跡防止機能は、広告のトラッキングのみならず、ユーザーのログイン連携にも影響を及ぼし得ることから、規制のあり方を検討する際にはユーザーの利便性や、ログイン連携機能改修に際して生じるサービス提供者への負荷についても考慮すべきである。

228ページ「19. データの取得、活用」
  • サードパーティ事業者への無償・継続的・リアルタイムでのデータアクセス提供の義務付けについて、プライバシー及びセキュリティの観点を十分に踏まえるとともに、自由な経済活動やイノベーション創出を妨げることのないよう、慎重かつ丁寧に議論すべきである。

  • データポータビリティについては、消費者ニーズや企業のメリット・実務負担、産業政策、既に制度を導入した欧州における評価等、幅広い観点から慎重かつ丁寧に議論を行い、わが国にとって最適な仕組みを構築すべきである。

2.その他

(1) 知的財産の保護について
  • 知的財産保護は、知的財産の収益化に向けた企業の投資を促すことで、イノベーション創出に寄与している。新たな規制について検討する際には、既存の知的財産制度との整合性が確保されるよう留意すべきである。

(2) 技術的制約・実現可能性・個人情報保護・サイバーセキュリティについて
  • 新たな規制による潜在的なリスクを回避するため、技術的制約、実現可能性、個人情報や消費者の保護、サイバーセキュリティ確保の観点を十分に踏まえたうえで慎重かつ丁寧な議論を行うべきである。

(3) パスキー機能(Passkey)について
  • 指紋・顔認証等によるパスキー機能は、プラットフォームがセキュリティレベルの変更を行った場合、変更前のレベルを前提に構築された第三者のサービスに影響を及ぼし得る。今後、こうした課題についても議論すべきである。

以上

「科学技術、情報通信、知財政策」はこちら