Policy(提言・報告書) 地域別・国別 アジア・大洋州  第8回日中企業家及び元政府高官対話 共同声明

  1. 2022年11月28日、日本経済団体連合会(経団連)と中国国際経済交流センター(CCIEE)は、第8回日中企業家及び元政府高官対話をオンラインで開催した。

  2. 双方は、本年9月に日中国交正常化50周年に際し、寄せられた岸田文雄日本国総理大臣と習近平中国国家主席によるメッセージを歓迎した。また、これを契機に、時代の潮流に合わせて互恵協力を拡大し、新時代の要請に適った日中関係の構築に努め、アジア地域ひいては世界の平和と安定、繁栄と発展を共同で促進していくことで一致した。

  3. 双方は、世界経済の見通し、日中の国内経済状況、両国の経済と貿易の発展などの議題について議論を深めた。そのうえで、不安定な国際情勢の中、両国は困難と障害を克服し、協力して日中経済の安定的で建設的な発展を推進し、更に高い次元のウィン・ウィンの成果を実現する必要があることで一致した。また、早期の正常な人的往来の本格的な再開と幅広い交流を推進し、引き続き、互恵関係を強化していくことに期待を示した。

  4. 双方は、ヘルスケア・介護分野でのスマート技術の応用や高齢化政策に関する交流と知見について深く議論し、それぞれの優位性を発揮した、より高度な協力を巡り意見交換した。また、スマート技術のイノベーションと応用分野での協力は、両国の高齢化問題への対応を力強く支援できると確認した。双方は、予防医学・健康管理・介護保険等に関する知見を共有する環境が整備され、両国のスマートヘルスケアとスマート介護産業の一層迅速な発展を促進させるべきであるとの認識を共有した。

  5. 双方は、コロナ禍への対応・気候変動・環境汚染などのグローバルな課題に直面しているとの認識を共有した。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)や、地球規模の温室効果ガス排出削減に向けたエネルギー需給両面でのイノベーション、脱炭素に資する製品・サービスの展開といったグリーントランスフォーメーション(GX)につながる気候変動対策で協力を展開すべきことを確認した。双方は、デジタル経済による発展の成果を共有するとともに、グローバルな気候変動に対処し、経済社会のデジタル化、グリーン化を推進して、両国のスマート社会の建設・カーボンニュートラルの目標達成・クリーンで美しい新たな世界の構築や、国連が掲げる持続可能な発展目標(SDGs)の実現に貢献することで一致した。さらに、デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速するためには、信頼性のある自由なデータ流通と、国を跨いだデータ利活用が重要であるとの考えを共有した。

  6. 双方は、両国、地域ひいては世界経済の回復にとって重要な基盤となるアジア太平洋地域のサプライチェーンの安全と安定を保障することは極めて重要であることを確認した。経済のグローバル化という正しい方向を堅持し、貿易と投資の自由化・円滑化を進めるためには、世界貿易機関(WTO)の改革が重要であるとの認識を共有した。また、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の適切な履行を通じて、地域と多国間の実質的な協力を深め、サプライチェーンを高度に融合させる。そして、開放的かつ互恵的な国際環境を共に整備し、両国、地域ひいては世界経済の発展に新たな原動力をもたらすことで一致した。

  7. 双方は、日中企業家と元政府高官によるハイレベル対話が定期的に開催されていることの重要性を高く評価し、新時代の日中関係と共通の重要課題について、引き続き率直な議論を深め、相互信頼を増進し、共通利益を拡大していくことで一致した。また、双方は、来年の適切な時期に第9回会合を東京で開催することで合意した。

以上