会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言  中国地方経済懇談会後の共同会見における榊原会長発言要旨

2017年2月21日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【日米関係】

トランプ大統領が就任して1カ月が経過したが、期待と懸念が交錯している。期待は、法人税減税、インフラ投資、規制緩和などの産業促進的な政策であり、市場もこれを好感し、ダウ平均株価は2万ドルを超え連日高値を更新している。米国経済が世界経済を牽引すれば、日本の景気回復にも追い風になる。懸念については、TPPからの離脱やNAFTAの見直しなど、保護主義的な政策を打ち出していることである。とりわけ、自動車関連など、多くの日本企業がNAFTAを利用してメキシコに進出しており、影響を及ぼしかねない。また、トランプ大統領が検討を進めている国境税についても、日本の貿易・輸出に大きな影響を及ぼす可能性があるので、注意深く見守っていきたい。

ただ、先の日米首脳会談で安倍総理からトランプ大統領に、自由で開かれた貿易体制の維持は世界経済の発展に不可欠であると説明し、理解を得られたと聞いている。日米が経済関係を強化し、自由で公正な貿易体制をアジア・太平洋地域で構築する重要性が共同声明でも謳われている。引き続き冷静かつ注意深く、米国の動向を見守りたい。

【プレミアムフライデー】

プレミアムフライデーには主に2つの目的がある。第1は、節約志向とデフレマインドにより伸び悩んでいる個人消費を喚起することである。色々な企画やイベントを通じて新しい消費を創造する契機としたい。第2は、働き方改革である。月末金曜日はできるだけ早めに仕事を切り上げるという新たなライフスタイルを提案し、ワークライフバランスを改善していく。

今週末に第1回プレミアムフライデーを迎えるが、まだ全国的に浸透しているとは言えず、中国地方でもいくつかの特色ある取り組みがあるものの、地域全体で盛り上がっているわけではない。今後、毎月毎月実施していくことで、中国地方を含む全国津々浦々にプレミアムフライデーが浸透し、個人消費の喚起と働き方改革につながっていくことを期待している。

【働き方改革】

先の働き方改革実現会議で、残業時間の上限規制のあり方について安倍総理より、労使が協議して一致点を見出すようにという趣旨の発言があった。上限規制に加えて、インターバル規制や上限規制の例外規定等について、現在、労使の事務レベルで協議を行っている。事務レベルでまとまるようであれば、来月の働き方改革実現会議に向けて、労使トップでの話し合いを行いたい。

【経団連女性エグゼグティブ訪米ミッション】

吉田審議員会副議長を団長に、私が経団連会長に就任してから3度目の訪米ミッションを今月末に派遣する。経団連として初めて各社の女性役員のみによるメンバーで、女性活躍やダイバーシティ推進等について、日本企業・社会の変革を情報発信するとともに、日米両国の女性エグゼクティブによるグローバルな交流を図る。同時に日本の経済界の米国経済への貢献を発信していく。

以上