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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 定例記者会見における十倉会長発言要旨

2021年7月20
一般社団法人 日本経済団体連合会

【東京オリンピック・パラリンピック】

コロナ禍の中、様々な国難を経てオリンピック・パラリンピックの開催にこぎ着けた関係者に敬意を表したい。国を越えた団結・友情という大会の意義をしっかりと世界に発信してもらいたい。

〔トヨタ自動車が大会向けCMの放映をとりやめ、豊田社長の開会式出席を見合わせたことについて問われ〕個社の判断と承知している。トヨタ自動車は、引き続きアスリートを支援し、車両も提供すると聞いている。豊田社長は経団連のオリンピック・パラリンピック等推進委員長ご就任当初から、各地でアスリートの方々と直に触れ合い、応援し、大会を盛り上げることに尽力されてきた。アスリートや大会を応援するお気持ち、方針に何ら変わりないと思っている。私も、経団連会長として開会式に招かれたが、諸事情を総合的に勘案して出席を見送り、国民の一人として、自宅で家族とアスリートを応援することにした。私が出席しないことで大会の意義や価値が変わるものではなく、成功を心から願っている。

〔小山田圭吾氏の、オリンピック開会式楽曲担当辞任について問われ〕オリンピック・パラリンピックは、ダイバーシティ&インクルージョンを理念として掲げている。差別的な発言やいじめは、これとは全く相容れない、許されざる行為である。小山田氏もそれを認識し職を辞され、組織委員会も受諾されたと聞いており、それ以上のコメントは控えたい。

〔様々な問題が指摘されている組織委員会のあり方を問われ〕そもそも四年に一度の祭典であることに加え、コロナ禍での開催となり世界の耳目が集まっている。こうした中、様々な問題があったのは事実だが、大会成功に向け関係者には引き続き最善を尽くしていただきたい。

【新しいエネルギー基本計画】

GHG(温室効果ガス)排出量の多くは発電に伴うものである。2030年度46%減、さらには2050年カーボンニュートラルの実現を見据え、S+3Eの観点と各電源の特性・役割を踏まえて、電源構成のベストミックスを追求すべきである。再生可能エネルギーは主要な脱炭素電源であり、今後一層普及させていく必要があるが、日本では、地理的制約により大量導入に困難が伴うほか、太陽光発電など発電量が変動するため、それを補完する電源が欠かせない。ベースロード電源として原子力、電力需給の調整力としての火力を適切に組み合わせる必要がある。

【最低賃金】

最低賃金の引上げは、生産性向上により収益が増えた場合に実施するものであるとの認識で労使は一致している。また、経済の好循環を実現していくことが重要との思いも共有している。最低賃金法では、地域における労働者の生計費、賃金、通常の事業の賃金支払能力を考慮して定めると規定されており、加えて、中央最低賃金審議会での目安審議に際しては、時々の事情を勘案しつつ総合的に決定することとされている。本来、これらのバランスを図るべく労使で議論を尽くす必要があるが、今回はこの面が十分ではなかったとの認識から、審議会での採決において経団連推薦委員は棄権した。

先日の答申で示されたのは目安であって、議論の場は、各地の最低賃金審議会に移っている。各地域の実情に即した引き上げ額が決定されることを期待したい。政府には、「パートナーシップ構築宣言」による取引価格の適正化や、デジタル化など生産性向上に資する支援策の拡充など、中小企業が最賃引き上げに対応可能な環境整備に向けて、万全のバックアップに努めていただきたい。

【日韓関係】

日韓関係の一日も早い正常化に向け、そのベースとなる、1998年の日韓パートナーシップ宣言に立ち戻ることを願う。(日韓首脳会談は)その契機になると期待していた。会談が見送られたことは残念だが、友好的な雰囲気の下、両国政府間で調整が進められていたと聞くし、両首脳が、関係改善に前向きな姿勢の発言をされており、意を強くしている。

以上

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