月刊・経済Trend 2008年1月号 巻頭言

未来への飛躍

御手洗会長 御手洗冨士夫
(みたらい ふじお)

日本経団連会長

新年、明けましておめでとうございます。

日本は大きな変化の中にある。グローバル化はさらに加速し、国を挙げての大競争時代に入った。加えて、地球温暖化や貧困など人類の叡知を問う課題もわれわれの挑戦を待ち受けている。国内に目を転じても、少子化・高齢化はいよいよ波頭を高くし、深刻な財政赤字や社会保障制度の持続性への疑問と相まって、この国の将来に影を投げかける状況に至っている。

こうした状況を打開し、希望あふれる未来へとわが国が飛躍するためには、前例にとらわれず、臆することなく改革に取り組まなければならない。経済成長力の強化、財政健全化と国民の将来不安の解消、地域経済の活性化という三本柱を中心に据え、全体最適を図る改革メニューはすでに昨年の日本経団連ビジョンで示した。イノベーションの推進、経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)の締結促進、企業法制・税制の抜本改革に加え、社会保障制度の信頼性、安定性、持続性確保に向けた改革、地域の主体性、自立性を促して活性化を図る道州制の導入が欠かせない。

この一年だけをみても、海外では原材料価格の高騰やサブプライム問題による国際金融不安が起こり、国内では政権が交代し、年金問題が発覚するなど、企業経営を取り巻く状況はめまぐるしく変動している。それでも、われわれに立ち止まる暇は与えられていない。現状に拘泥することは、先人の努力を無にし、未来を放棄することにつながるからである。

国内政治は、衆参両院のねじれという極めて厳しい状況にある。しかし、国益を追求し、国民を第一に考えれば、道は必ず拓かれる。グローバル化や少子化・高齢化の進展を与件とする中で、われわれは未来の世代への責任をまっとうしなければならない。

今年も、われわれの考え方に対する各界からの意見を伺いながら、着実に次のステップを踏みたい。そして、未来への飛躍を確かなものとするために、引き続き、総力を結集して諸課題に取り組む所存である。


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