経済くりっぷ No.26 (2003年8月12日)

7月16日/国土・都市政策委員会PFI推進部会(部会長 小倉勝彦氏)

PFIに関する最近の動向と今後の課題


日本経団連では昨年6月に「PFIの推進に関する第二次提言」を取りまとめ、現在そのフォローアップを行っているところである。そこで、内閣府PFI推進室の有木久和参事官にPFIの現状、今後の課題等についてきいた。併せて当日は、PFI事業としての活用も有望視されている、米軍からの返還国有地の取扱いについて、財務省理財局国有財産業務課の豊岡俊彦課長より説明をきいた。

I.有木参事官説明要旨

PFI法が成立してほぼ4年が経過し、実施方針策定案件も100件を超えた。契約も45件余り成立している。そもそもPFIは地方公共団体が先行する形で採用されていったが、最近では国の案件も増えている。
PFIを推進する上で入札手続の合理化は大きな論点であり、関係省庁で議論を重ねてきた。その結果、

  1. 第一段階で民間事業者が提出した事業計画の概要のみを審査し、あらかじめ事業者の候補を絞り込んだ上で入札を行う多段階選抜方式、
  2. 入札前の民間事業者と発注者との協議に基づく契約書案の修正、
  3. 落札後の協議、契約書案の修正(ただし他の入札参加者の落札が可能となるような修正を除く)が認められること、
という点で合意した。これは日本経団連の提言の趣旨にも合致するものと考える。
PFIの事業契約は当事者が協議・合意の上締結されるので、基本的には当事者の意思次第である。標準的な契約書のモデルを作成することは難しい。しかし、官民の公平なリスク分担を達成する上で必要な留意点を明示しておくことは有益であり、このたび「契約に関するガイドライン」を取りまとめた。
PFI税制も重要な論点である。この点、一般廃棄物処理施設等、一部のPFI事業については固定資産税の軽減措置が取られている。なお、民間事業者としてはプロジェクトの所有権が官側にあるBTO方式の場合は固定資産税等が課されないが、所有権が民間事業者にあるBOT方式の場合は課税の対象となるという点を最も問題視しているが、この問題を解決するために財務当局との更なる折衝が必要である。

II.豊岡課長説明要旨

財務省・関東財務局では、首都圏に9ヵ所、合計で400ha存在する旧米軍基地跡地を民間に開放する方針である。今後5年以内に、各地方公共団体が跡地利用のグランドデザインを作成し、自ら活用する区域と民間に売却する区域を画定する。前者についてはPFI事業や定期借地権の設定による企業の誘致という形で民間の資金・ノウハウを導入していきたい。後者については民間ディベロッパーによる中高層住宅の建設等が期待されている。国有地の民間への開放が、良好な都市環境の整備、経済拠点の創設、防災機能の強化といった形で地域住民の生活の向上に資することを願っている。本件について、日本経団連の会員企業と連携していきたい。

《担当:産業本部》

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