10月3日/行政改革推進委員会(委員長 出井伸之氏、共同委員長 草刈隆郎氏)

行革は政治改革とともに

−早稲田大学大学院 北川教授(前三重県知事)よりきく


Introduction
行政改革推進委員会では「2003年度日本経団連規制改革要望(案)」につき審議した。審議に先立ち、早稲田大学大学院公共経営研究科の北川正恭教授より、行政改革・政治改革等について話をきいた。

I.北川教授講演要旨

1.地方自治体が主導してこその地方分権

従来、知事は権限の8割を国に握られていたため、国に対する説明責任があったが、地方分権一括法の施行により、県民に対する説明責任が増すこととなった。その結果、各地で新しい知事が誕生している。
補助金によってできあがった集権官治型の組織・制度を変えるために、知事や市長に声をかけ、補助金返還運動を始めた。これは戦後の憲法制定以来の大反乱といえる。
地方分権も、市町村合併も、三位一体も国にやらされたら何の意味も無い。自分たちで誇りある体制をとらなければならない。

2.選挙改革を通じた政治改革

行政改革をいくら行ったとしても政治改革が伴わなければ意味が無い。マニフェスト運動をはじめ、実際、具体的なマニフェストを掲げた知事が圧勝した。政治が説明責任を果たせば国民は理解してくれるし、役人は政治が責任を取れば必ずそれに従う。
日本で最も遅れているのは国民による政治であるが、マニフェスト運動とあわせて、本当の市民自治に向かいつつある。現在は大きな変化を行うチャンスであると考えている。

3.今後の規制改革

行政の側から「規制してあげましょう」というのが日本を覆う閉塞感の最大の要因である。まず規制をゼロにし、民間の側から必要な社会的な規制をするべきであり、自分たちの財産(規制)を全部捨てずに「しかたないから緩和してやろう」というような決断力の無さ、スピードでは世界の競争に追いつけない。官僚が経済のグランドデザインを描いたら、それは社会主義国家に他ならない。主権者たる民間が自ら動かなければならない。地方自治体と日本経団連が協働して、この国を世界のスタンダードに近づける努力を行うべきである。

II.意見交換(要旨)

日本経団連:
改革に向けて、どのようなアプローチの仕方があるか。
北川教授:
民間が政治よりも官僚を信頼してきたため、各省と業界団体の癒着が生まれた。これを断ち切る勇気を持たなければ真の資本主義社会はできない。

日本経団連:
日本が変わるチャンスであるというが、それは日本人の価値観の変化とも関係があるのではないだろうか。
北川教授:
価値観が変わってきた、というよりも価値観を変える中心に日本経団連がいてほしい。
《担当:産業本部》

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