月刊 keidanren 増刊号

私の共生論

コラム

経団連と共生


共生に関する委員会

経団連では、平岩会長(当時)が91年に発表した経団連の「90年代を通じた基本方針」において、内外社会との共生の実現をうたい、92年、共生に関する委員会を設置した。爾来、同委員会と関係各委員会において、わが国産業と海外産業、企業活動と地球環境、企業と社会等との共生について理念と実践の普及に務めている。
また94年、高丘季昭委員長(西友会長)のもとで設置された総合部会では、共生の理念について、「世界的な変化のうねりの下では、単一の価値観による固定的な概念としてよりも、多様な価値を認める豊潤な概念として捉えるべきである」とまとめている。

企業行動憲章

経団連では、「企業の論理が社会の論理から乖離している」という批判に応え、1991年9月、「企業行動憲章」を取りまとめて、各企業・業界に企業行動や商慣行のあり方の総点検を求めた。
憲章は
  1. 社員の人間性の尊重、環境保全などをうたった「企業の社会的役割を果たす7原則」、
  2. 自己責任原則の徹底などの「公正なルールを守る5原則」、
  3. 監査機能の強化などの「経営トップの責務3原則」
から成っている。

地球環境憲章

経団連では、1991年4月、地球温暖化など、近年の環境問題の深刻化を受け、各企業に対し、地球環境保全に向けた行動を求める理念・指針を示す「地球環境憲章」を発表した。
環境に関する経営方針、社内体制、技術開発等に言及した11の行動指針の第8には「社会との共生」を掲げ、企業が地球環境保全活動に地域社会の一員として参画すること、社会各層との対話を通じて相互理解を促進し、協力関係を強化することを求めている。

消費者・生活者委員会

わが国が転換期を迎える中、企業はこれまで以上に、生活者の視点を取り入れた経営が求められている。
こうした認識に基づき経団連では、91年に消費者・生活者委員会を発足させ、企業と消費者・生活者とのより良い関係づくりに向けた検討を進めている。これまでに、企業と「消費者」「地域社会」「社員」との関係について、より良い関係づくりの取り組み事例収集調査を行い、取りまとめた。
鈴木敏文委員長(イトーヨーカ堂社長、95年就任)のもとで、消費者・生活者を取りまく諸規制について、消費者・生活者の視点に立った緩和・見直しのための検討を進めている。

第7回経団連東富士フォーラム
「共生と変革の時代」

92年7月に開催された経団連東富士フォーラムでは「共生と変革の時代」をテーマにした討議が行われた。議長を務めた豊田副会長(当時)は共生の概念を明らかにするとともに、海外との共生を念頭に、共生を実践する上でのポイントを、
  1. お互いの実情を十分に理解し、必要に応じて、相互にハーモナイズすること、
  2. 世界的な企業間の協力・提携の拡大、いわゆるビジネス・グローバル・パートナーシップを実践すること、
  3. 世界全体としてダイナミックな発展ができるメカニズムをつくっていくこと
であるとまとめている。


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