経営タイムス No.2640 (2002年8月1日)

日本経団連・東富士夏季フォーラム

「国家意識」などで質疑


<日本経団連側>

日本にはもともと国家意識はなかったのではないか。アメリカには宗教がある。日本は、裕福を背景に国を開放し民主導でやっていくというビジョンが必要である。そうした観点から新しいナショナルアイデンティティを考えるべきである。

<佐伯教授>

日本には一貫して国家意識がなかったと言えるかもしれない。日本人は無宗教ではなく、アメリカと同様のことが日本もできるのではないか。日本はコストをかけても文化を守っていく必要がある。

<日本経団連側>

世界中のリスクがアメリカに集中し過ぎており、世界が非常に危険な状況に置かれている。テロを根絶するために、日本のように中間的な国が何らかの形で貢献し、一つひとつ実績を重ねていくしかない。

<佐伯教授>

アメリカへの一極集中になればなるほど、パレスチナやイスラムなど、アメリカへの批判が増えてくる。

<日本経団連側>

国家意識の強い国は、おしなべて人口増加国である。日本は、人口減少とともに、国家意識が急速に薄れた。近年、世論は議論を単純化しているが、今後、世論を「手段の統一化」から「多様化への涵養」に移行させる必要がある。

<佐伯教授>

世論の役割は大事である。いまの日本では物事が情緒的に決まっており、これをどう改めるかが重要である。


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