[ 日本経団連 ] [ 機関誌/出版物 ] [ 経営タイムス ]

経営タイムス No.2652 (2002年11月7日)

第55回東北経営者大会、仙台市で開催

−豊かな「自立する東北」実現へ
  地方都市の再生促す施策充実など満場一致で大会決議採択


東北経営者協会・宮城県経営者協会主催、日本経団連協賛による「第55回東北経営者大会」が1日、仙台市で開催された。会場のホテルメトロポリタン仙台には、600名を超える東北各県有力企業のトップ・経営幹部が集まり、奥田碩・日本経団連会長の講演を聴取したほか、わが国経済の再生や安定した労使関係の構築などで意見を交換。豊かな「自立する東北」の実現に向け、雇用や中小企業に対するセーフティネットの整備強化、地方都市の再生を促す施策の充実など4項目を盛り込んだ大会決議を満場一致で採択した。

日本経団連・奥田会長「デフレからの脱却」強調

大会冒頭、主催者を代表してあいさつした八島俊章・東北経協会長(宮城経協会長)は、東北地方の経済情勢について、生産活動に一部回復も見られるが依然として厳しい状況が続いていることを報告。政府のデフレ対策に期待を寄せるとともに、企業も新たな日本型経営システム構築を図らなければならないことを強調した。さらに、11月に東北6県が新幹線で結ばれることを「東北一体化への新たな一歩」とし、今後、東北の経営者も産学官の連携のもと、自らの創意工夫によって新産業を創出する取り組みが求められることを訴えた。

大会はこの後、浅野史郎・宮城県知事の代理として柿崎征英副知事が来賓祝辞を述べ、奥田碩・日本経団連会長の基調講演「21世紀を拓く経営戦略」に移った。
講演の中で奥田会長は、わが国経済にとって最大かつ緊急の課題を「デフレからの脱却」と指摘。政策当局に対し、なんとしてもデフレを脱却するという強い意思を内外に示してほしいと訴え、インフレ・ターゲッティングについても「具体的な検討を進めることが必要な状況にいたっているのではないか」と述べた。
また、不良債権処理が進められることによる失業者の増加について、「すでに、かつてない深刻な雇用失業情勢にある、その上に、多数の失業の可能性があることは極めて危機的な状況と認識するべき。まずは方法論にこだわらず、何らかの形で再就職を進めることを優先的に考えることも必要」とし、幅広いセーフティネット整備の必要性を強調した。
さらに奥田会長は、日本経済を再生させる原動力の一つとして“地方のパワー”を指摘。「多くの国際水準の研究シーズを有する東北大学をはじめとする地域の大学等研究機関と関連企業が共同研究を行うことによって、新たな産業や雇用の創出を図るとともに、国内外の競争の中でも自立できるような国際レベルの技術革新型クラスターの形成をめざすなど、その意気込みや可能性には並々ならぬものがある」とし、「東北地方が日本経済を力強く牽引することも実現可能」と期待を寄せた。

講演に続いて、日本経団連の奥田会長、柴田昌治副会長、矢野弘典専務理事ら役員と参加者が意見を交換(概要別掲)。この場であがった意見や提案を踏まえ、セーフティネットの整備強化、国民の将来不安の払拭など4項目を柱とし、豊かな「自立する東北」の実現に向け取り組む決意をまとめた大会決議(全文別掲)を満場一致で採択した。決議は大会の総意として、今後、政府や関係各機関に要請していく。
決議の採択の後、国際ビジネスコンサルタントのジョージ・フィールズ氏が、「常識と通念・グローバルの日本戦略」をテーマに特別講演を行った。
最後に、次回大会開催地となる山形県経営者協会を代表して相馬健一会長があいさつし、大会を終了した。


日本語のトップページ