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経営タイムス No.2652 (2002年11月7日)

第55回東北経営者大会

<決 議>


 戦後半世紀をかけて経済大国への道を歩んできたわが国は、バブル崩壊から十余年を経た今日、国を支えてきた仕組みの機能不全が顕在化しており、新時代にふさわしい、活力に満ちた経済社会の再構築への取り組みが求められている。
 特に、戦後最悪の長期デフレの渦中にある国内経済は、世界同時不況の懸念のなか、先行きの展望が得られない状況にある。
 また、雇用情勢も、不振業種を中心に雇用調整が進み、若年層における失業増加や、求人の停滞などにより、深刻な状況で推移している。
 非常時の今こそ、その再生に向けた大胆な政策転換を図ることが喫緊の課題である。
 とりわけ、税制改革や社会保障改革などの全体像や方向性を早急に明確化するとともに、デフレ脱却や金融システムの安定化を図る総合戦略を果敢に実行する必要がある。
 企業経営に当たっては、現在の苦境を転機と捉え、「人材の多様な活用」や「技術革新の促進」など、大胆な「経営構造改革」に努めるとともに、わが国の風土に根差した新たな企業統治を目指すことが求められている。
 一方、地方の活性化こそが21世紀のわが国を支えるとの観点に立ち、東北地方の高速交通体系のネットワーク化など、基礎的社会資本の充実整備に向けた施策を展開する必要がある。本日、第55回を迎えた東北経営者大会において、我々東北の経営者は、日本経済団体連合会との連携のもと、豊かな「自立する東北」の実現に向け、一層強力に取り組んでいく決意を新たにするものである。
 ここに、仙台市における大会論議を踏まえ、東北経営者大会の総意として、政府および関係機関に対し、次の諸点について強く要請するものである。

  1. デフレ経済から脱却するため、雇用や中小企業に対するセーフティネットを早急に整備強化し、金融システムの安定化や、税制改革に果断に取り組むこと。また、地方自らの選択による施策展開を可能とするため、地方財源の確保・充実を目指した改革を促進すること。

  2. 世界に類を見ない少子高齢化の進展に対処するため、年金、医療など社会保障制度改革の展望を示し、国民の将来不安の払拭を図ること。また、女性の能力活用を目指す企業への支援施策を充実するとともに、産業を支える若年層の育成システムの確立を図ること。なお、役割を終えた「産業別最低賃金」制度は抜本的に見直すこと。

  3. 世界に通用する産業競争力を確保するため、科学技術創造立国に向けた取り組みを強化し、特に、産学官連携による地場産業の創出・振興を支援すること。さらに、地域を支える農業ビジネスの展開が可能な支援策の具体化を図ること。

  4. 「21世紀の豊かな国土」の構築に必要な東北の活性化を図るため、地域の交流と連携を促進する高速交通体系の整備や、衰退傾向の著しい地方都市の再生を促す施策の充実など、基礎的社会資本整備の促進を図ること。


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