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経営タイムス No.2678 (2003年6月5日)

日本経団連、「税制改革」で提言

−国民負担のあり方などを示す


日本経団連(奥田碩会長)は5月29日、「近い将来の税制改革についての意見」と題する提言をとりまとめ、政府・与党ほか、関係方面に建議した。同提言は、今年1月に発表した『活力と魅力溢れる日本をめざして』(新ビジョン)を踏まえつつ、今月中にもまとめられる予定の政府税制調査会「中期答申」と、経済財政諮問会議「骨太方針第3弾」に経済界の意見を反映させることを目的として、税制委員会(森下洋一委員長)を中心にとりまとめたもの。(1)国民負担のあり方と税制改革 (2)国・地方を通じた税財政改革 (3)環境問題への対応――の3つの柱から構成。同提言は、年金をはじめとする社会保障と税制をパッケージで捉えた上で、包括的かつ具体的な改革策を提示することを最大の狙いとしている。
同提言の概要は次のとおり。

1.国民負担のあり方と近い将来の税制改革

少子・高齢化が急速に進み、総人口が減少する中で、わが国経済の活力を将来にわたって維持していくためには、税財政、社会保障など既存の制度をあらゆる角度から見直し、持続可能な形に再構築しなければならない。基本的な目標として、租税と社会保障負担をあわせた国民負担率を、中長期的にも50%以下に抑制すべきである。

まずは国・地方を通じた徹底的な歳出削減が求められる。公共事業等の抑制に止まらず、公務員人件費等の削減もためらうべきでない。その上で、給付の大胆な見直しを通じて、社会保障費用の増大を極力抑制しなければならない。公的年金については、報酬比例年金部分の抑制のみならず、基礎年金部分も一定の所得がある高齢者には支給を停止・減額するなどし、両者をあわせた水準を、所得代替率50%程度にまで、早急に見直すべきである。

さらに、医療費の徹底的な効率化、介護保険制度の給付抑制も不可欠である。
それでもなお増大する社会保障費用を賄うための財源としては、社会保険料や個人・企業に対する課税ではなく、国民が広く負担を分かち合うことのできる消費税を活用すべきである。早期に税率引き上げに着手し、最終的な税率を18%程度までに抑えることが必要である。
さらに、現役世代と高齢者世代の負担の歪みを是正するために、公的年金等控除の廃止、老年者控除等の縮減が不可避である。

2.国と地方のあり方と近い将来の税制改革

国・地方の税財政改革については、国からの委任事務は国の負担、自治事務は自治体自らが賄うよう整理した上で、地方の自主財源は個人住民税と居住用資産にかかる固定資産税を基本とすべきである。また、地方交付税も抜本的に見直すべきである。

3.地球環境問題と近い将来の税制改革

地球温暖化対策については、産業界は自主的取り組みを鋭意進めており、環境税導入の議論は時期尚早である。

「近い将来の税制改革についての意見」のポイント
(クリックすると拡大図が開きます:PDF形式)

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