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経営タイムス No.2722 (2004年5月20日)

日本経団連、金子規制改革担当相と懇談

−新たな規制改革推進体制への政府取り組みなどで意見交換


日本経団連の行政改革推進委員会(出井伸之委員長、草刈隆郎共同委員長)は17日、都内のホテルで金子一義規制改革担当大臣を招いて、委員会を開催した。日本経団連からは出井委員長、草刈共同委員長のほか、高原慶一朗評議員会副議長らが出席。政府の新たな規制改革推進体制における取り組みなどについて、幅広く意見を交換した。

冒頭、金子大臣は、構造改革特区について言及。岩手県遠野市の「どぶろく特区」で観光客が5割増となったことや、三重県四日市市において特区を活用したコンビナートの建替えにより、700億円規模の設備投資が見込まれることなど、具体的な改革の効果を紹介した。
続いて、小泉純一郎首相を本部長とし、全閣僚で構成される「規制改革・民間開放推進本部」の果たす役割を説明。民間有識者で構成される規制改革・民間開放推進会議の代表者と閣僚が同じテーブルに着き、個別テーマについて議論することで改革を進めると述べた。
その上で、「推進本部は、役人のシナリオに基づいて、民間主導の規制改革を封ずるもの」との見方が一部にあることについて、そのような意図はまったくなく、むしろ規制改革を強力に推進していくためのものであることを改めて強調した。
さらに、新体制における検討課題の1つとして「市場化テスト」の導入を例示。真に官が行うべき仕事以外は民間に開放すべく、官・民が競争入札する仕組みを導入する考えを示した。

また、株式会社の医療機関経営への参入や、混合診療の解禁など医療分野の課題については、パブリックアクセプタンス(社会的受容)を確保しながら改革を進める必要があると指摘。また、海外の高水準の医療技術が日本でも活用されるようにすることにより、日本の医療水準向上をめざすことも重要であり、困難を乗り越えて改革を進めたいと述べた。
さらに、一般小売店における医薬品販売についても、医薬部外品に移行することによりコンビニ等で買えるようにするだけにとどまらず、医薬品販売のあり方全般について薬事法改正の議論が始まっていると述べ、スピードに問題があるとしてもいったん改革が進み出せば後戻りせず、着実に規制改革が進むことを強調した。

懇談では、草刈共同委員長が、行政改革推進委員会が同日取りまとめた「構造改革特区制度の改善に向けた中間論点整理」概要次号掲載)に盛り込まれている特区に関する改善提案を紹介した。

鈴木祥弘規制改革推進部会長は、技術進歩にウエートを置いた医療特区づくりを提案。出井委員長は、日本の医療技術を世界のトップレベルに引き上げるための戦略づくりが重要と語った。

これらを受けて金子大臣は、混合診療の解禁の必要性について言及した。
また、「特殊法人等に投入されている多額の補助金等を見直すべき」「中長期の抜本的な歳出抑制を図る観点から、道州制の導入を検討すべき」などの日本経団連の意見について金子大臣は、「独立行政法人化が単なる看板の架け替えに終らないようにしたい」「国と地方のあり方を変えていくような改革の萌芽が全国各地で見られるようになっており、権限移譲と規制改革でそれを後押ししていきたい」などと応じた。


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