日本経団連タイムス No.2742 (2004年10月14日)

最低賃金をめぐる最近の動き

−最低賃金制度、厚労省研究会で「あり方」を検討


◇ 2004年度地域別最低賃金が決定

2004年度地域別最低賃金額改定状況の表

地域別最低賃金の2004年度の金額改定審議がすべて終了し、9月30日または10月1日から適用(茨城は10月17日)された。
金額改定状況をみると、宮城と東京、静岡、愛知は時間額2円の引き上げ、ほかの道府県は1円の引き上げ、富山と和歌山、高知は金額据え置きとなっている。
また、各地方最低賃金審議会での決定状況は、使用者側委員の反対が21件(昨年3件)に増加、労働側委員の反対は4件(同24件)に減少した。

◇ 最低賃金制度に新たな動き

最低賃金制度は、一般に国が法的拘束力をもって賃金の最低額を定め、使用者はその金額以上の賃金を労働者に支払わなければならない制度で、「地域別最低賃金」(すべての雇用形態の労働者と、労働者を1人でも使用しているすべての使用者に適用)、「産業別最低賃金」(各都道府県内の特定の産業に働く労働者とその使用者に適用)の2つがあるが、そのあり方をめぐって、新たな動きが出てきた。

現在の最低賃金制度は、1968年に改正された最低賃金法によってその骨格が形成されたといわれ、その後も運用面で改善を重ねているが、グローバル化の急速な進展や雇用形態・就業形態の多様化など、企業や労働者を取り巻く環境は、現在の最低賃金制度が形成された当時とは大きく変容している。

また、日本経団連が経営労働政策委員会報告2003年度規制改革要望で廃止を主張している産業別最低賃金制度のあり方については、3月に閣議決定された規制改革・民間開放推進3カ年計画で、「産業別最低賃金制度については、その在り方を速やかに検討する」ことが決まっている。

こうしたことを受けて厚生労働省は9月、学識経験者8名からなる「最低賃金制度のあり方に関する研究会」を設置した。同研究会は、最低賃金制度が労働市場等に及ぼす影響や諸外国の最低賃金制度などの研究、実務経験者へのヒアリングなどを行い、年内に論点整理、来年春に報告書をとりまとめる予定。

同研究会での議論や進捗状況等について、日本経団連は関心をもって見守ることとしている。

【労働政策本部労政・企画担当】
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