日本経団連タイムス No.2755 (2005年2月10日)

2005年優先政策事項第10項「外交・安全保障政策」の解説発表

−国際社会から信頼・尊敬される国家めざし、わが国の繁栄と世界平和の課題に取り組む


日本経団連は7日、2005年の政党政策評価の尺度となる「2005年優先政策事項」を改定し、第10項「内外の情勢変化に対応した戦略的な外交・安全保障政策の推進」の「解説」を公表した。

「2005年優先政策事項」は昨年11月24日に、04年の優先政策事項10項目を精査・修正して9項目に統合整理するとともに、新たな項目として「内外の情勢変化に対応した戦略的な外交・安全保障政策の推進」を第10項に追加したもの。このうち、第1〜第9項については、日本経団連の考え方を「解説」として昨年11月の優先政策事項とあわせて公表したが、第10項の「解説」については、「国の基本問題検討委員会」の報告書とりまとめ(05年1月20日号既報)を踏まえて公表することとなっていた。

報告書「わが国の基本問題を考える〜これからの日本を展望して〜」の発表を受けて今回公表した第10項の「解説」では、戦略的な外交・安全保障政策を推進する目的や基本姿勢として、国際社会から信頼・尊敬される国家をめざすことや、日本の繁栄と世界の平和に向けて国際社会が抱えている課題に主体的に取り組むことを挙げている。
また、外交面では、日米同盟と東アジア地域における連携強化を軸に、防衛や経済、技術などを含めた総合的な安全保障の実現に向けて、政治がリーダーシップを発揮し、省庁横断的な体制を整備することや、憲法の改正を視野に入れ、自衛隊が国際社会と協調して世界平和に向けた活動を一層強化できるよう、必要な立法などを進めることとしている。

政治寄付について日本経団連は03年5月、日本経団連が定める優先政策事項に基づいて政党の政策評価を行い、企業・団体の自発的な政治寄付を促進する新方式による政治寄付の方針を示し、これを受けて、政策評価の尺度となる04年の優先政策事項を03年9月に発表。それを踏まえ、自由民主党と民主党の政策評価を04年中に2回実施し、その政策評価を参考として、企業・団体が自発的に政治寄付を行うよう呼びかけた。
05年については、新たな優先政策事項に基づき秋口に1回、政党の政策評価を行うこととしている。また春には東京や関西などで、政党の政策責任者との対話集会を開催する予定である。
05年の優先政策事項10項目と、今回新たに公表した第10項の「解説」は次のとおり。


優先政策事項

■基本的な考え方

日本経団連では、2003年1月「活力と魅力溢れる日本をめざして」と題するビジョンを発表した。日本の政治・経済社会システムは、少子化・高齢化の進展、グローバル競争の激化といった環境変化に、迅速に対応できなくなっている。そこで、ビジョンでは、従来の官主導型の成長モデルを転換し、民主導・自律型の経済社会のグランドデザインを示した。すなわち、われわれがめざすのは、個人や企業が自由に創意工夫を発揮し、個々の多様性に根ざした活力を全体の発展に結びつける経済社会である。同時に、国際社会に貢献し、世界から信頼・尊敬される国家を指向すべきである。

このためには、政治が強いリーダーシップを発揮し、少子化対策、経済・産業の活性化、簡素で効率的な政府を実現するための改革を強力に推進するとともに、国の基盤としての確固たる外交・安全保障政策を樹立せねばならない。

■当面の優先政策

このような観点から、当面、以下の10項目の政策の推進が極めて重要であると考える。

  1. 経済活力、国際競争力強化に向けた税・財政改革

  2. 将来不安を払拭するための社会保障制度の一体的改革

  3. 民間活力の発揮を促す規制改革・民間開放の実現と経済法制の整備

  4. 科学技術創造立国の実現に向けた政策の推進

  5. 持続可能な経済社会の実現に向けた真に実効あるエネルギー・環境政策の推進

  6. 心豊かで個性ある人材を育成する教育改革の推進

  7. 個人の多様な力を活かす雇用・就労の促進

  8. 地方の自立と地域や都市に活力とゆとり、安全と安心を生み出すための環境整備

  9. グローバル競争の激化に即応した通商・投資・経済協力政策の推進

  10. 内外の情勢変化に対応した戦略的な外交・安全保障政策の推進

    <解説>
    国際社会から信頼・尊敬される国家を目指し、わが国の繁栄と世界の平和に向け国際社会が抱える課題に主体的に取り組み、戦略的な外交・安全保障政策を推進する。

    外交面では日米同盟と東アジア地域における連携強化を軸としながら、防衛、経済、技術などを含む総合的な安全保障の実現に向けて、政治がリーダーシップを発揮し、省庁横断的な体制を整備する。また、憲法改正を視野に入れつつ、自衛隊が国際社会と協調して世界平和に向けた活動を一層強化することができるよう、必要な立法などを進める。

上記優先政策事項は、2005年の政党の政策評価の尺度となるものである。

【社会本部政治担当】
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