日本経団連タイムス No.2755 (2005年2月10日)

社会保障制度の一体的改革の中で被保険者、受給者の範囲に結論を/日本経団連、今後も主張展開

−通常国会に介護保険法改正案提出


給付の効率化・重点化や食費・居住費の自己負担化などの大幅な見直しが予定されている介護保険法改正案(2月3日号既報)が8日、閣議決定の上、通常国会に提出された。最後まで与党間で協議が続けられていた、被保険者および受給者の範囲については、「社会保障に関する制度全般についての一体的な見直しと併せて検討を行い、その結果に基づいて、2009年度を目途として所要の措置を講ずる」という文言を附則に盛り込むことで決着した。

日本経団連では、第2号被保険者および受給者の範囲拡大については、特に新たな保険料負担者になる若年者の理解が得られないなどの理由から、「極めて慎重であるべき」との考えを主張してきた。今回の附則の趣旨は、「この問題については介護保険制度の中だけではなく、あくまで社会保障制度の一体的改革の中で、税・社会保険料負担全体のあり方を踏まえて議論し、結論を得るもの」と解するべきである。社会保障制度の改革に際しては、経済活力との整合性を図ることや、公平で公正かつ納得できる負担方式にすることが求められるとともに、国民的な合意形成が不可欠である。日本経団連は引き続きこうした観点に立って、社会保障制度の在り方に関する懇談会など、さまざまな場で産業界の考え方を主張していく。

また、介護保険制度改革を実効あるものにするためには、同法の改正案成立後に検討される政省令や告示の規定について注視していかなければならない。さらに、3年に1度の介護報酬改定が06年4月に予定されており、これについても慎重に対応する必要がある。

【国民生活本部社会保障担当】
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