日本経団連タイムス No.2778 (2005年8月4日)

06年版経労委報告とりまとめへ活動スタート

−今年度第1回会合を開催/盛り込む内容など委員から意見聴取


春季労使交渉における経営側の基本スタンスを毎年とりまとめている「経営労働政策委員会」(経労委、議長=奥田碩会長、委員長=柴田昌治副会長)は7月20日、東京・大手町の経団連会館で、今年度の第1回会合を開催した。今回の会合では、2005年版の同委員会報告(経労委報告)の感想や、今年12月に発表予定の06年版経労委報告に盛り込む内容などについて、委員やアドバイザーから意見聴取を実施。06年版経労委報告のとりまとめに向け、活動をスタートした。

冒頭、同委員会の議長を務める奥田会長があいさつした。その中で奥田会長はまず、現在の景気について、緩やかに回復しているとの見方を示した一方、為替の動向や原油価格の高騰などのリスク要因があると指摘。その上で、企業は将来の成長に向けて有望分野に集中的に経営資源を投下する「攻めの経営改革」を一層推進する必要があると述べた。
また、労使交渉については、企業経営の先行き不透明感が強まっていることから、「従来の横並びのベースアップはその役割を終えている」とした上で、賃金だけでなく、「経営と労働」に関するさまざまな事項について話し合う場として、労使交渉や労使協議が企業経営においてこれまで以上に重要な位置を占めるようになっていることを強調。そのため、同委員会の役割も一層重要さを増していると語った。

続いて、同委員会の委員長である柴田副会長があいさつし、今年度から、張富士夫副会長、岡村正副会長、氏家純一評議員会副議長、岡部弘地方団体長会副議長らが新たに委員として加わったことを紹介した。
また、今年の春季労使交渉について柴田副会長は、「横並びの賃金決定という春闘の意味合いが薄まり、業績向上の配分は賞与・一時金に反映させるという、ここ数年の傾向がさらに進んだ」と総括した。

次に、06年版の経労委報告の構成や内容などについて意見を交換。日本企業や社会を取り巻く環境変化、経営と労働における諸課題など幅広いテーマについて、出席した委員・アドバイザー全員が発言するなど、活発な意見交換を行った。
同委員会は今後、9〜11月にかけて月1回程度開催して議論を重ねた後、12月中旬に06年版の経労委報告をとりまとめることとしている。

◇ ◇ ◇

経営労働政策委員会は、「経営と人」に焦点を当て、労使交渉に直接・間接に関係する諸課題について、春季労使交渉における経営者の基本的な態度・考え方の指針を報告書にとりまとめ、毎年発表している。奥田会長が議長、柴田副会長が委員長、副会長や関係委員会の委員長らが委員(37名)を務めるほか、学識経験者やエコノミストらがアドバイザー(8名)として参加している。
昨年12月に発表した05年版の経労委報告「労使はいまこそさらなる改革を進めよう」1月1日号既報)では、「人材力」の育成や多様な人材を活かした経営推進の重要性を強調。賃金決定では、国際的にすでにトップレベルにある賃金水準のこれ以上の引き上げは困難であり、市場横断的で横並びのベースアップはその役割を終えたとの主張を展開した。

【労働政策本部労政・企画担当】
Copyright © Nippon Keidanren