日本経団連タイムス No.2786 (2005年10月6日)

ワシントンにWTOミッション派遣

−新ラウンド交渉をめぐり米国政府・民間と意見交換


日本経団連は、9月19〜20日に、桑田芳郎貿易投資委員会企画部会長ほか企画部会のメンバー11名のミッションをワシントンに派遣、米国の政府(国務省、通商代表部、商務省)や、議会(下院歳入委員会、上院財政委員会)、経済団体(全米商工会議所、全米製造業者協会、米国サービス産業連盟、国際ビジネス評議会、外国貿易協議会、グローバル・ビジネス・ダイアローグ)の関係者と、WTO新ラウンド交渉の推進について意見交換した。

米国の官民とも、強調点の差こそあれ、9月19日に日本経団連が公表した提言「WTO新ラウンド交渉・香港閣僚会議の成功を望む―各国は政治的決断を―」9月22日号既報)で示された認識を共有、世界の経済界が一体となって、自由貿易推進を求める声を強めることが交渉の進展に繋がることを確認した。
米国は、ブッシュ大統領が9月14日に国連総会で「各国が足並みを揃えて、すべての関税、補助金、非関税障壁の撤廃をめざして努力しよう」と演説したことから、2006年中の新ラウンド交渉妥結のために、今年12月の香港閣僚会議を最大かつ最後のチャンスととらえ、交渉の進展に積極的な姿勢を見せていた。
また、総選挙での自民党の圧勝により、日本が交渉でリーダーシップを発揮できるかに強い関心を示した。桑田部会長からは「自民党の勝利は、国民の改革への期待の表れであり、小泉総理のリーダーシップへの期待が高い」と説明した。
米国では、経済界や農業界、消費者の代表が貿易交渉に参画することが制度化しており、香港閣僚会議にもA(農業)B(ビジネス)C(消費者)ドーハ連合を形成し、公式代表団の一員に加わり、WTOを通じた貿易の自由化の必要性を広報するとのこと。

ミッション終了後の9月21日には、米国のビジネス・ラウンドテーブルが9月6日の共同声明9月22日号既報)に参加した日本、欧州、カナダ、メキシコの経済界の代表を招いた国際CEOサミットを開催、日本経団連を代表して桑田部会長が出席した。会合では、5カ国の代表が、衛星ライブ中継でジュネーブから参加したパスカル・ラミーWTO事務局長と意見交換した。ラミー事務局長は、「WTO新ラウンド交渉は、現在、全体の仕上がりの半分以下の水準で、06年末までに交渉を妥結するためには、香港閣僚会議で3分の2程度まで高める必要がある。各国とも交渉の推進に向け、方向はそろってきたが、はっきりとした動きは見えない。今後、残りわずかの期間に、優先交渉項目の絞り込みを行い、交渉を軌道に乗せたい。経済界が自由化推進の声を内外に訴えることが交渉の何よりの後押しになる」と述べた。
日本経団連では、10月11〜14日にブラッセル、ジュネーブ、12月13〜18日に香港に代表団を派遣、各国の経済界と連携を図りながら、交渉推進に向け働きかけを強化することにしている。

【国際経済本部貿易投資担当】
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