日本経団連タイムス No.2788 (2005年10月20日)

労働契約法制で使用者側の基本的考え方提示

−厚労省在り方研報告に反対を表明/労政審分科会などを通じて意見を主張


日本経団連は「労働契約法制に対する使用者側の基本的考え方」を労働法専門部会(小島浩部会長)の基本見解として取りまとめ、13日に発表した。

今回の「考え方」においては、まず「あるべき労働契約法制について」として、次のような一般民事法としての労働契約法制については、これを否定するものではないとの見解を示している。
(1)雇用の多様化などによる個別的労働紛争の増加を防止するべく、労働条件を労使に明確に示すようなものであること(労働条件の明確化) (2)紛争が起きたときにどのように解決するかという解決基準のルールを定めたものであること (3)以上のルールは労使自治を基本とすることから補充規定、任意規定であること (4)中小零細企業を含めた日本の企業の多くが円滑に順守できるようなものであること(複雑な手続規定等は設けないこと)。
しかし、厚生労働省の「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」報告に対しては、同報告が、雇用の入り口から出口に至るまで、すなわち採用、試用、配転等から退職、解雇に至るあらゆる場面において起こり得る問題を想定し、強行規定や指針を背景に企業を規制する内容となっており、容認できないと述べている。

さらに、同報告は学識経験者のひとつの意見であって、同報告の方向性にとらわれることなく、労働契約法制については、厚生労働省の労働政策審議会(労働条件分科会)において、今後労使で検討されるものと理解しているとして、同報告の位置付けを確認している。

また、今回の「考え方」では、今後は、かねて主張している、解雇の金銭解決制度や、ホワイトカラーエグゼンプションについて早期導入を要求するとともに、労働契約法制の内容が、強行規定や指針によって企業に規制や負担を課するものになることを阻止すべく求めていく旨を表明している。

4日に厚生労働省の労働政策審議会(労働条件分科会)で「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」報告の説明がなされ、今後、労働契約法制に関する具体的審議が労働条件分科会で進む見通しである。日本経団連としては、今回の「考え方」に基づき、あらゆる機会を通じて使用者側意見を主張していくこととしている。

【労働法制本部労働法制担当】
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