日本経団連タイムス No.2795 (2006年1月1日)

企業倫理・企業行動に関する調査結果を発表

−企業不祥事は自社でも起こり得る/約76%の経営トップが危機感


日本経団連は12月13日、「企業倫理・企業行動に関するアンケート」の集計結果<PDF>を発表した。同調査の結果、経営トップの約76%が企業不祥事は自社でも起こり得るという危機感を抱いており、約67%の経営トップが、社内の組織・体制を整備したものの、中身の充実が課題であると認識しているなど、多くの経営トップが危機感を持って企業倫理の確立に取り組んでいることがわかった。

同調査は、企業倫理月間(10月)の活動の一環として、日本経団連の会員である1558企業・団体の経営トップや企業倫理担当者を対象に8月22日から10月31日までの間に実施したもの。経営トップ向けでは507社・団体(回答率32.5%)、担当者向けでは524社・団体(同33.6%)から回答があった。同調査結果の概要は次のとおり。(10月18日時点で中間集計<PDF>を発表・05年10月27日号既報)

<経営トップの回答>

75.9%が、最近報道されている企業不祥事が、自社やグループ会社でも起こり得ると危機感を持っている。また、66.5%が、企業倫理徹底のための社内組織・体制を整備したものの、中身の充実が課題であると認識している。これに組織・体制をさらに充実させる必要があるとした22.3%を加えると、88.8%の経営者がさらなる内容充実や体制整備の必要性を感じている。
また82.6%の経営トップが、年頭あいさつ、入社式、各種研修会などで企業倫理の重要性を自ら社員に訴えているほか、59.4%が、社内報や社員あてメール等で自らのメッセージを社員に伝えている。さらに、42.8%が、事業所を回って社員に語りかけている。

<担当者の回答>

95.4%が、日本経団連の「企業行動憲章」「実行の手引き」<PDF>を読み、そのうち63.4%が自社の憲章や規定の策定に利用しているほか、自社内の教育・研修プログラムや勉強会用の資料として利用している。
86.6%の企業・団体が企業行動指針などを策定済み、80.5%が企業倫理担当役員を任命済み、89.3%が、企業倫理担当部署を設置済みである。なお、担当部署は、61.8%が他の業務との兼任。担当者の人数は76.8%が5人以内である。
2006年4月の公益通報者保護法施行を前に、企業倫理ヘルプライン(相談・通報窓口)を設置済みとしたのは、79.4%に上り、年度内に設置するとしている会員を含めると80%を超える。

企業倫理の浸透徹底のための実践例としては、87.4%が入社式や研修会などで説明しており、73.3%が社内報や社員あてメール等を利用して情報提供を行っている。
浸透徹底の確認のために実施していることとしては、定期的なアンケート調査の実施、研修やテストの実施、さまざまな形での情報提供や意見交換の場の設置、事例集の配布、検査・倫理監査の実施などがある。

企業倫理徹底のために作成・配布しているツールとしては、61.8%がハンドブックの配布を挙げた。
全役職員に署名宣誓を求めている企業・団体は21.8%。35.1%が、企業倫理への取り組みを人事考課などに反映している。

情報開示については、83.6%がホームページや報告書など会社の広報媒体に取り組み状況を掲載している。
公開基準については、27.8%は役員会などがその都度決定、20.6%がトップがその都度決定するとし、内容により開示すべき媒体などについての社内基準があるとしたのは17.6%にとどまっている。なお、基準を設けていない企業・団体は、30.0%。

【社会本部企業倫理担当】
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