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Policy(提言・報告書) 企業行動憲章

2022年12
一般社団法人 日本経済団体連合会
(PDF版はこちら
【序文】
-サステイナブルな資本主義の確立を目指して-

持続可能な社会の実現に向けて、「Society 5.0 for SDGs」を柱に、2017年に企業行動憲章を大幅に改定してから、5年が経過した。その間、金融資本市場における意識の高まりと相まって、SDGsを経営に統合する企業は着実に増えている。

一方、世界は今、さまざまな危機に直面している。気候変動や生態系崩壊の危機といった地球環境問題が深刻化していることに加え、2020年から猛威を奮い始めた新型コロナウイルス感染症は、世界的な規模で経済や社会に構造的な影響をもたらした。いずれの危機も、とりわけ社会の最も弱い人々に打撃を与え、行き過ぎた株主資本主義のもとで進行していた格差を拡大させた。さらに、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵略は、世界の平和と安全保障に大きな脅威を与え、食料やエネルギーをはじめとした連鎖的な危機を誘引している。

こうした予見できない、複合的な危機を乗り越えるため、経済界は、「サステイナブルな資本主義」の確立を目指して、地球環境の保全、公正で公平な社会の実現、産業競争力の強化を通じた成長と分配の好循環、分厚い中間層の形成、有事対応への備えなどを推進していく必要がある。そのため、社会性の視座に立脚した企業行動を実践していくべきである。具体的には、企業は、人権を尊重し、働き方の変革と人への投資を行いつつ、グリーントランスフォーメーションやデジタルトランスフォーメーションを通じて社会的課題の解決を目指し、社会や個人のウェルビーイングの向上に貢献していく。同時に、多様なステークホルダーとの新たな価値の協創によって、持続的な成長を実現することが重要である。さらに、自社のみならず、グループ企業、サプライチェーンにも行動変革を促すことで、持続可能性と強靭性を確保し、世界で起きているさまざまな危機に対応する必要がある。

会員企業は、持続可能な社会の実現が企業の発展の基盤であることを認識し、「サステイナブルな資本主義」への転換を加速し、ESG(環境・社会・ガバナンス)を考慮した経営の推進によって、より一層、Society 5.0の実現を通じたSDGsの達成に向けて行動する。

ここに改めて、会員企業は、本憲章の精神を遵守し、自主的に実践していくことを宣言する。

企業行動憲章
― 持続可能な社会の実現のために ―
一般社団法人 日本経済団体連合会
1991年9月14日 制定
2017年11月8日 第5回改定

企業は、公正かつ自由な競争の下、社会に有用な付加価値および雇用の創出と自律的で責任ある行動を通じて、持続可能な社会の実現を牽引する役割を担う。そのため企業は、国の内外において次の10原則に基づき、関係法令、国際ルールおよびその精神を遵守しつつ、高い倫理観をもって社会的責任を果たしていく。

(持続可能な経済成長と社会的課題の解決)
  1. イノベーションを通じて社会に有用で安全な商品・サービスを開発、提供し、持続可能な経済成長と社会的課題の解決を図る。
(公正な事業慣行)
  1. 公正かつ自由な競争ならびに適正な取引、責任ある調達を行う。また、政治、行政との健全な関係を保つ。
(公正な情報開示、ステークホルダーとの建設的対話)
  1. 企業情報を積極的、効果的かつ公正に開示し、企業をとりまく幅広いステークホルダーと建設的な対話を行い、企業価値の向上を図る。
(人権の尊重)
  1. すべての人々の人権を尊重する経営を行う。
(消費者・顧客との信頼関係)
  1. 消費者・顧客に対して、商品・サービスに関する適切な情報提供、誠実なコミュニケーションを行い、満足と信頼を獲得する。
(働き方の改革、職場環境の充実)
  1. 従業員の能力を高め、多様性、人格、個性を尊重する働き方を実現する。また、健康と安全に配慮した働きやすい職場環境を整備する。
(環境問題への取り組み)
  1. 環境問題への取り組みは人類共通の課題であり、企業の存在と活動に必須の要件として、主体的に行動する。
(社会参画と発展への貢献)
  1. 「良き企業市民」として、積極的に社会に参画し、その発展に貢献する。
(危機管理の徹底)
  1. 市民生活や企業活動に脅威を与える反社会的勢力の行動やテロ、サイバー攻撃、自然災害等に備え、組織的な危機管理を徹底する。
(経営トップの役割と本憲章の徹底)
  1. 経営トップは、本憲章の精神の実現が自らの役割であることを認識して経営にあたり、実効あるガバナンスを構築して社内、グループ企業に周知徹底を図る。あわせてサプライチェーンにも本憲章の精神に基づく行動を促す。また、本憲章の精神に反し社会からの信頼を失うような事態が発生した時には、経営トップが率先して問題解決、原因究明、再発防止等に努め、その責任を果たす。

経団連はSDGsを支援しています。

企業行動憲章 実行の手引き(第9版)

<参考資料>

(2022年12月)

(2021年12月)

(2017年11月)

企業行動憲章/実行の手引き 改定履歴

<英訳版>