日本経団連タイムス No.2807 (2006年3月30日)

診療報酬制度改定/医療費の領収証発行義務化

−日本経団連、適切運用へ経過見守る


日本経団連は「適切な公的医療費」を実現していく観点から、昨年10月に公表した意見書「国民が納得して支える医療制度の実現」2005年10月20日号既報)の中で医療行為と支払いの関係の透明化を図るべきことを主張し、中央社会保険医療協議会(中医協)の場でもその実現方に努めてきた。
その結果、2月15日に中医協で答申された2006年度の診療報酬改定において、病院や診療所などは今年4月1日から、行った医療行為についての個別費用ごとに区分して記載した領収証を患者に対して無償で発行することが義務となった。

領収証の様式は「初・再診料」や「入院料」「検査」などの項目ごとに費用がわかるようなものとなっている。患者は窓口において余計な医療費の支払いがないか確認できるとともに、医療における価格=診療報酬についても関心が高まることから、さらなる改革が進められることが期待される。増加の一途をたどっている公的医療費の適正化のためにも、適切に運用されるように経過を見守りたい。
ただし、4月1日までにこのような領収証を発行できない医療機関等に対しては最大6カ月の準備期間が設けられており、すべての医療機関等で医療内容のわかる領収証が受け取れるようになるのは10月1日からとなる。加えて、今回発行が義務化された領収証よりもさらに詳細な内容(入院中の点滴の内容や検査の内容など)を患者が希望する場合、医療機関に明細書の発行を求めることが可能である。ただし、明細書の発行については、各医療機関の努力義務となっており、また、そのための費用として、実費程度を徴収される場合がある。

このほかに4月1日から、医療機関の窓口で受け取る処方せんの様式が変更される。医薬分業の推進により、患者は病院などで処方せんを受け取り、院外の薬局で薬を購入するという仕組みが浸透してきているものの、処方せんに書かれた医薬品以外は効能や効果が同じであっても、患者の希望で別の医薬品に変更することはできなかった。このため、価格の安い後発医薬品がある場合でも、患者が選択することは困難であった。今後は処方せんに医師が「後発医薬品への変更可能」という意思表示をする欄が設けられることから、後発品を望む患者の選択は以前に比べ容易になる。

【国民生活本部医療・介護担当】
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