日本経団連タイムス No.2825 (2006年8月10日)

経営労働政策委が今年度第1回会合開催

−御手洗会長が「経労委報告」の重要性を強調


春季労使交渉・労使協議における経営側の基本スタンスを毎年取りまとめている「経営労働政策委員会」(経労委、議長=御手洗冨士夫会長、委員長=岡村正副会長)は7月25日、東京・大手町の経団連会館で、今年度の第1回会合を開催した。今回の会合では、2006年版の同委員会報告(経労委報告)の感想や、今年12月に発表予定の07年版経労委報告に盛り込む内容などについて、委員やアドバイザーから意見聴取を実施。07年版経労委報告の取りまとめに向け、活動をスタートした。

冒頭、同委員会の議長を務める御手洗会長があいさつした。その中で御手洗会長は、自社の例を挙げながら、春季労使交渉が従来の横並びから個別化してきていると指摘。さらに、自社での経験から、経営にとって労使関係がいかに大事であるかを実感したと述べた。その上で、労使交渉が多様化すればするほど、経労委報告における経営側の主張・スタンスが経営者の指針・羅針盤として重要なものとなると強調した。

続いて、同委員会の委員長である岡村副会長があいさつし、今年度から、すべての副会長、評議員会副議長が委員として加わったことを紹介した。

次に、07年版の経労委報告の構成や内容などについて意見を交換。日本企業や社会を取り巻く環境変化、経営と労働における諸課題など幅広いテーマについて、活発な意見交換を行った。委員会の最後に御手洗会長が、硬直的で不合理な給与体系を持っている限り、日本は国際社会の中で競争力を失うと指摘した。
同委員会は今後、9〜11月にかけて月1回程度開催して議論を重ねた後、12月中旬に07年版の経労委報告を取りまとめることとしている。

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経営労働政策委員会は、「経営と人」に焦点を当て、労使交渉・協議に直接・間接に関係する諸課題について、春季労使交渉・協議における経営者の基本的な態度・考え方の指針を報告書に取りまとめ、毎年発表している。御手洗会長が議長、岡村副会長が委員長、副会長や評議員会副議長、経営や労働に関係する委員会の委員長らが委員(46名)を務めるほか、学識経験者やエコノミストらがアドバイザー(7名)として参加している。
昨年12月に発表した06年版の経労委報告「経営者よ 正しく強かれ」1月1日号既報)では、日本的経営の根幹である「人間尊重」「長期的視野に立った経営」を基本に、環境の変化に柔軟に対応し得る組織・人材戦略が求められると指摘した上で、賃金は自社の実情を踏まえて個別労使が話し合って決定するとの原則をあらためて強調している。

【労政第一本部企画担当】
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