日本経団連タイムス No.2855 (2007年4月12日)

ドナヒュー全米商工会議所理事長と懇談

−中国における知的財産権侵害対策促進などで一致


日本経団連の御手洗冨士夫会長は3日、東京・大手町の経団連会館で、来日中のトーマス・ドナヒュー全米商工会議所理事長と懇談した。

■中国における知的財産権侵害対策の促進

ドナヒュー理事長は、訪日の直前に中国において、全米商工会議所と中国国際貿易促進委員会が共催する「知的財産権保護とイノベーションに関するグローバル・フォーラム」に出席したことに触れ、中国企業も自国の知的財産権侵害状況の改善の必要性を認識しており、中国政府にも、産業界と協力し対策を積極化する姿勢がうかがえたことを評価するとともに、中国政府に対し、増大する侵害に対する取り締まりの迅速化、および司法手続きの確立を働き掛けているとの紹介があった。一方、御手洗会長からは、日本の経済界も共通する課題を抱えており、協力して中国政府に働き掛けを行うことが重要であること、また、米国、中国を含め各国との知的財産権制度の調和の推進が必要であることを指摘し、ドナヒュー理事長から賛同を得た。

■WTOドーハ・ラウンドの推進

御手洗会長は、世界経済の成長の基盤となるWTO体制の維持・強化が重要であり、昨年7月以来中断していたものの1月に再開が合意されたドーハ・ラウンド交渉をぜひとも成功させるべきと指摘した。
ドナヒュー理事長は、整備された紛争解決手続きを有するWTOの意義は大きく、ラウンドの妥結は先進国、途上国ともに恩恵を与えると評価した。その上で、最近、米欧間で合意の兆しがあり、ここ数カ月で、妥結に向けた可能性は高まっていると述べた。併せて、米欧が合意すれば、日本、ブラジルなど他の主要国も交渉に加わることができると指摘、鍵となるのは、農産品の自由化に消極的なインドの出方との見方を示すとともに、日本の農業構造改革の推進については評価すると述べた。
また、ブッシュ大統領が合意への強い意思を有していると述べ、民主党支配下にある米国議会も、途上国に恩恵を与える合理的な内容であれば、好意的に受け入れるだろうと述べた。
御手洗会長からは、最も影響力のある米国が現実的な提案を行うよう、米国政府への働き掛けを要請し、ドナヒュー理事長からも賛意が示された。

■日米EPAの検討

御手洗会長から、米韓FTA(自由貿易協定)交渉の妥結に触れ、日本経団連も昨年11月、日米EPAに関する産学官の共同研究の早期開始を求める提言を発表し、両国政府に働き掛けていると説明し、全米商工会議所にも協力を要請した。
ドナヒュー理事長からは、アジアにおける米国の重要なパートナーである日本とのEPAについて共同研究を行うことは重要との指摘がなされた。その上で、同理事長は、あくまでドーハ・ラウンドの推進を前提とし、日米EPAはWTOを代替するものではなくWTOに貢献するものとすべきと指摘するとともに、日本経団連と協力して日米EPAの検討を深めたいとの意向を示した。

【国際第一本部北米・オセアニア担当】
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