日本経団連タイムス No.2856 (2007年4月19日)

「観光立国推進基本計画に関する意見」を公表

−講ずべき施策を提起/実現への目標示す


日本経団連は5日、「観光立国推進基本計画に関する意見」(以下、意見)を公表した。日本経団連では魅力ある国づくりの観点から、かねて政府・与野党に対して「観光立国推進基本法」の実現を働き掛けてきたが、昨年12月には、衆参両院で全会一致により同基本法が成立した。今年6月には同法に基づく基本計画が閣議決定されることから、観光委員会企画部会でも改めて基本計画に盛り込まれるべき事項について意見を取りまとめた。概要は次のとおり。

I 施策についての基本的な方針

第1に、国土交通省を中心とした省庁間連携をさらに深め、省庁横断的な施策・事業を企画立案した上で、予算や人員を効率的に活用するとともに、責任体制の明確化、政策の説明責任の履行、事前・事後の政策評価実施等を徹底することが必要である。さらに、将来的課題として、観光行政の総合的推進の観点から、行政改革の趣旨を踏まえ、観光庁等の設置のあり方について検討すべきである。
第2に、国際観光プロモーションを一層効果的に展開するため、政府は、民間のノウハウが十分に活かされるよう、在外公館、ビジット・ジャパン・キャンペーン実施本部(VJC実施本部)、国際観光振興機構(JNTO)など関係機関の連携強化を図るべきである。特に将来的には、VJC実施本部とJNTOについて、それぞれの長所を活かす形での機能の一本化も視野に入れた検討を行うべきである。
このほか、先進的な取り組みを行っている地域への支援強化や、ビザ発給要件の緩和等についても推進すべきである。

II 観光立国の実現に関する目標

具体的には、観光立国の実現に向けて、例えば次の事項について目標を定めることが考えられる。
第1に、国・地方における国際観光収入の増加目標である。このうち地方については、広域連携による観光振興の観点から、東北、中部、九州などブロック単位で目標を設定するのも一案である。
第2に、全国際空港における出入国手続きにかかる時間を平均10分以内とするなど、空港手続きの簡素化・迅速化である。
第3に、日本の対外イメージ、例えば(1)「伝統とハイテクの国 日本」(2)「四季と食文化の国 日本」(3)「安全と安心のもてなしの国 日本」――のそれぞれについての海外における定着度に関する目標である。

III 講ずべき施策

これまでの観光委員会の提言を踏まえ、講ずべき施策として、(1)交通施設の整備(2)人材育成(3)外国人旅行客の来訪の促進(4)新たな観光旅行の分野の開拓(5)観光地における環境および良好な景観の保全(6)観光統計の整備に関する施策――を基本計画に盛り込むべきである。
このうち、交通施設の整備については、観光旅行者の来訪の便宜を図る観点から、国内主要空港、港湾、鉄道、道路の総合的な整備により国内主要都市・観光地へのアクセス向上を推進すべきである。特に、空港については、羽田空港を中心として24時間化・国際化の推進に取り組むべきである。

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日本経団連としては、今後、同意見が基本計画に反映されるよう関係方面に働き掛けることとしている。

【産業第一本部国土担当】
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