日本経団連タイムス No.2867 (2007年7月12日)

国際協力委員会を開催

−ODA改革の状況など/外務省・別所国際協力局長から聴取


日本経団連は6月27日、東京・大手町の経団連会館で国際協力委員会(槍田松瑩委員長、矢野薫共同委員長)を開催し、外務省の別所浩郎国際協力局長から、(1)ODA改革をめぐる状況(2)2008年に予定されているTICAD IV(アフリカ開発会議)やG8北海道洞爺湖サミットに向けた今後の方針(3)ベトナムとインドに対するODAの取り組み――について、説明を受けた。別所局長の説明の要点は、以下のとおり。

第一の「ODAをめぐる状況」について別所局長は、日本経団連が5月に発表した提言「わが国国際協力政策に対する提言と新JICAへの期待」に言及し、経済成長に資する援助や担い手としての民間の重要性を謳った日本経団連の考え方は十分に理解しており、しっかりと受け止めたいと発言した。
また、来年10月の新JICA(国際協力機構)発足を契機に、無償資金協力、技術協力、円借款の三つのスキームを一体的に実施するとともに、引き続き円借款の迅速化に取り組みたいと、強い意欲を示した。
併せて、経済連携協定(EPA)推進のためのODAの活用や、タイド円借款であるSTEP(本邦技術活用条件)の制度の拡充などにも引き続き取り組みたいとの考えを表明した。日本経団連と新JICAとの間で定期協議会を設立すべきであるとの提案については、外務省も入る形で、できるだけ早期に実現し、連携をさらに進めたいと提案した。
このほか、3月に外務大臣の諮問機関として発足した「国際協力に関する有識者会議」の5月の第2回会合において、米倉弘昌日本経団連副会長、辻亨日本経団連国際協力委員会共同委員長(当時)、岡素之日本貿易会副会長(当時)の3委員がODAに関する建設的な意見や提案を数多く行ったことを紹介した。
さらに、自民党の「外交力強化特命委員会」(森喜朗委員長)と「対外経済協力特別委員会」(伊藤達也委員長)から、ODAを再び拡充する方向で、具体的な提言が発表されたことに言及し、こうした意見を真摯に受け止め、今後のODA政策を推進していきたいとの抱負を述べた。

第二の「今後の方針」について別所局長は、来年08年が、5月に第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)、7月にG8サミット(北海道洞爺湖サミット)が開催され、10月には新JICAが発足するなど、わが国国際協力にとって重要な年になるとの認識を改ためて明らかにした。
TICAD IVに関しては、現在アフリカにおいて、アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)やアフリカ連合(AU)を通じて、自助努力の機運が高まっていると指摘した。
TICAD IVについては、「元気なアフリカを目指して」というメッセージを掲げ、アフリカにおける成長の加速化、人間の安全保障の確立、環境問題・気候変動問題への対処といったテーマを取り上げることとしていると紹介した。サミットに関しては、気候変動と並んでアフリカが重大なテーマとなるため、サミットとTICADの間で相互に良い作用を与えるようにしたいと表明した。
また、準備状況として既に在京アフリカ外交団、NGO、国際機関との協議を行っているとの説明があり、民間からの協力もお願いしたいとの要請があった。

第三の「ベトナムとインド向けのODA」について別所局長は、ベトナムでは、ズン首相が重要3大プロジェクトと位置付けている南北高速鉄道、南北高速道路、ハイテク工業団地の3案件については、日本の民間企業にも、関係・関心があると思われるので、良く整理して適切に対応していきたいと発言した。インドに関しては、近年、日印経済関係強化に向けた動きが活発化する中、重要案件として注目されているデリー・ムンバイ間産業大動脈構想および貨物鉄道構想に対し、わが国としてどのような貢献が可能か、検討していきたいと説明した。

【国際第二本部国際協力担当】
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