日本経団連タイムス No.2885 (2007年12月3日)

「子育てに優しい社会づくりに向けて」取りまとめ

−子育て環境整備に向けた企業の取り組みなど提言


日本経団連は11月20日、「子育てに優しい社会づくりに向けて―地域の多様なニーズを踏まえた子育て環境整備に関する提言―」を公表した。同提言は、御手洗会長就任2年目の重要課題の一つである「子育て支援」への取り組みの一環として、企業としてできることは何かを中心に取りまとめたもの。概要は次のとおり。

■子育て環境整備に向けた企業の取り組み

大都市圏では保育所への入所待機中の児童が大変多いため、従業員が育児休業から円滑に職場復帰しにくい。そこで、企業自らが事業所内保育施設を設置・運営したり、地域貢献として保育所整備に土地・建物を提供したりすることは効果的である。

また、仕事と子育ての両立支援や男性の育児参加を推奨する観点から、恒常的な長時間労働の是正を中心にした男性の働き方の見直し、女性の就労継続支援と再雇用の推進、在宅勤務等のテレワークの活用等が求められる。

■大都市圏における保育所待機児童問題への対応

大都市圏では用地確保や費用負担等の問題があり、従来型の施設整備は難しい。そこで、東京都認証保育所などを参考に、駅前などの利便性の高い場所で保育施設を設置しやすくするため、保育所の面積基準や保育従事職員の資格基準の緩和などを進め、多様なニーズに対応する必要がある。

また、保育ママやベビーシッターなどを充実するため、子育て経験者が保育士の資格を有していなくても、保育サポーターやボランティア等としてかかわれる仕組みづくりを提案している。

■全国各地域における効果的な子育て環境整備に向けて

既存の保育所や幼稚園では、一時預かりや広域入所、親子登園等さまざまな子育て支援を行っており、今後、より一層有効活用することが求められる。その際、認可保育所における「保育に欠ける」要件を見直し、多様な保育に対するニーズに応える保育施設とし、幼稚園と同様に、利用者が直接契約できるようにすべきである。

■子育て環境整備に必要な財源確保

保育サービスの充実に向けた社会インフラを整備するための費用を賄うため、既存の歳出を徹底して見直し、それでも歳出増となる部分は、新たな社会保険方式の導入ではなく、中長期的に安定的な財源を確保すべきである。

■国民運動の再構築

子育て環境を整備していく上で、子育てに対する国民一人ひとりの暖かいサポート、意識改革が不可欠である。しかし、国、地方自治体などが行うさまざまな子育て支援の活動・事業は縦割りのため、国民運動としてのまとまりに欠けている。既存の取り組みを見直し、国全体の一体感ある国民運動として再構築する必要がある。

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日本経団連では、同提言の公表に先立ち、会員に対して「家族の週間」における国民運動への協力を呼び掛けるとともに、経済広報センターと連携して、仕事と子育ての両立支援に取り組む企業の事例を集めたパンフレットを作成し、子育て支援に対する積極的な取り組みをアピールしている。

【経済第三本部国民生活担当】
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