日本経団連タイムス No.2942 (2009年3月12日)

主要国産業団体と気候変動に関する共同声明採択

−COP15ホストのラスムセン・デンマーク首相との意見交換も


日本経団連では2月16、17の両日、デンマークのコペンハーゲンで開催された「気候変動に関するラウンドテーブル」に、環境安全委員会アドバイザーの桝本晃章東京電力顧問を派遣した。このラウンドテーブルには、ビジネス・ヨーロッパとデンマーク産業連盟の主催により、主要国から11の産業団体が参加し、共同声明を採択した。参加団体は、北米から、米国商工会議所、米国国際ビジネス評議会(USCIB)、カナダ経営者評議会、欧州から、ビジネス・ヨーロッパ、デンマーク産業連盟、新興経済国から、中華全国工商業連合会、インド産業連盟(CII)、ブラジル全国工業連盟(CNI)、南アフリカ全国ビジネス・イニシアチブ、途上国から、ケニア製造業者協会であった。
共同声明の概要は以下のとおり。

  1. (1)金融経済危機が生じているが、産業界はCOP15(国連気候変動枠組条約第15回締約国会議)の成功を支援する。

  2. (2)各国政府は、経済回復とエネルギー安全保障に取り組みつつ、気候変動の新しい国際枠組に合意する必要がある。

  3. (3)各国の経済対策には、気候変動やエネルギーに焦点を当てた投資が含められるべきである。

  4. (4)ポスト京都議定書の国際枠組は、以下の要件を満たす必要がある。

    1. (ア)共通だが差異ある責任の原則を考慮しつつ、各国の事情を考慮し柔軟で、かつすべての国が参加するもの
    2. (イ)エネルギー効率の改善に焦点を当てるもの
    3. (ウ)長期のイノベーションや投資を促すもの
    4. (エ)APP(アジア太平洋パートナーシップ)をモデルとするような官民のパートナーシップによる技術協力を実現するもの
    5. (オ)関税引き上げといった保護主義につながらないもの

また、ラウンドテーブルでは、ポスト京都議定書の国際枠組の合意をめざしているCOP15のホストであるラスムセン・デンマーク首相との意見交換の場も持たれた。ラスムセン首相の発言は以下のとおり。

ポスト京都議定書の国際枠組では、(1)各国の目標の合意(2)資金に関する合意(3)各国の取り組みを計測・報告・検証可能とする手法の開発――が必要である。各国の目標については、科学的知見に基づき、2050年に温室効果ガスを半減させることに合意し、かつ、中間的な目標として、2020年までの各国の削減目標に合意すべきである。資金に関しては、排出枠の初期配分を入札によって有償で行う排出量取引制度を各国で導入し、その収入を技術開発・移転、適応に充てるべきである。EUは他国の取り組みにかかわらず、2020年に1990年比20%削減を約束している。こうした中で、各国が相応の取り組みを行わないと、EUの経済界は政治家に対し保護主義的圧力( green protectionism )をかける可能性がある。発展途上国も現状の伸びよりも30%の削減をめざすべきである。

【産業第三本部環境担当】
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