われわれ経済団体#2は、2月17日・18日の両日、自らのイニシアチブの下に、コペンハーゲンで会合を行い、気候変動に対する意見交換を行った。その結果、われわれは、コペンハーゲンにおける本年12月の来るべきCOP15に関し以下の声明を合意するに至った。
経済界は、2009年12月のコペンハーゲンにおけるCOP15の成功を支援することを約束している。経済界は、経済の停滞にも関わらず、COP15の成功が可能であると考えている。各国政府は、経済回復とエネルギー安全保障に取り組みつつ、COP15において、気候変動に対する国際的な協力行動を促進する国際枠組に合意する必要がある。われわれは、気候変動の緩和、気候変動の悪影響に対する適応、森林破壊のそれぞれに、等しく注意が払われるべきであると考えている。
景気が回復しなければ、気候変動問題に対して野心的な取組みを行うための国際社会の能力が阻害されることとなる。したがって、現在の厳しい状況に対し、われわれは、相当の懸念をもっている。
しかしながら、金融危機は、一時的なものと考えられる一方、気候変動問題は、足元から将来に亘る行動が求められる地球規模の長期的な課題である。
厳しい時期にあっても、われわれは行動を起こす必要がある。われわれの行動は、国連気候変動枠組条約 (UNFCCC) において、諸政策を統合し優先順位をつけ、他の多国間のプロセスと相互に連携させることにより、限られた資源を最適に活用するよう、賢明で費用対効果が高いものでなければならない。
各国政府は、本年末に至るまでのチャレンジに対応するためには経済界の専門性と関与が重要であることを認識し、受け止めるべきである。
経済界は、気候変動問題の解決策の一部である。先進国、途上国の双方において、経済界はすでに大きな取組みと行動を行っており、さまざまな解決策や資源を提供できることを証明している。各国政府において、エネルギー、気候変動、経済発展といった分野における、さまざまな論点を統合するようなアプローチが採られることが重要である。実施可能な技術の選択肢の中ですぐ採用できるものは数多くある。政府と経済界は、基準、官民のパートナーシップ、政府調達等の政策分野で協力することができるし、協力すべきである。
われわれは、研究開発、イノベーション、人材育成のための資金を強化しなければならない。また、技術移転のコストを低減し、ビジネスを活性化させるような枠組の構築を促進させなければならない。CDM (クリーン開発メカニズム) やJI (共同実施) は、小規模のプロジェクトや農業プロジェクトの促進、官僚主義の排除の観点から、改善されるべきである。
各国や各地域における経済刺激策には、気候変動やエネルギーに特化した投資が含まれるべきである。気候変動政策の内容とその実施は、経済の回復と成長に資するものであるべきであり、各国は、保護主義への傾斜や他の生産的でない措置を避けなければならない。これらが行われて初めて、気候変動に対する国際的な行動のために必要なコンセンサスが、経済危機によって崩されることを防ぐことができる。
われわれは、各国政府に対し、財務担当大臣を交渉に直接関与させ、現在の逼迫した金融情勢において、気候変動に対応するための資金の問題を前進させる方策を議論させることを強く提案する。
資金が限られている中で、われわれを取り巻くチャレンジに対応するひとつの方法は、各国内において、効率的で費用対効果が高い投資に焦点を絞ることである。資金メカニズムのあり方と資金需要は、各国・各地域の状況や産業によって異なる。資金は気候変動向けに特化し、予測可能性が高いものでなければならない。われわれは、ポスト京都議定書の枠組において、資金、技術、適応、森林破壊といった問題に対応している既存の組織を、可能な範囲で活用することを提案する。資金問題に対応する組織は、効果の最大化を図り、透明性、明確なルールとビジネス・ライクな手続を備え、官民パートナーシップの手法により改善が図られるべきである。
気候変動に対する悪影響への適応は、国際レベル、地域レベルで行われ、特に、水、健康、農業、将来における発電・送電の問題に対応したものでなければならない。こうした適応への取組みは、地域にすでにある技術や途上国にある経験を活用するとともに、持続可能な地域のインフラストラクチャーを構築するものでなければならない。
5つの大陸の発展段階の異なる国々の数百万の企業を代表する経済団体であるわれわれは、経済を回復させ、気候変動問題への取組みを強化し、必要とされる持続可能な発展をすべての地域で実現するよう、上記の考え方をさらに発展させ、より具体的な提言や解決策を提供するため、さらに作業を続けることを約束する。
ポスト京都議定書の国際枠組は、共通だが差異ある責任の原則を考慮しつつ、柔軟で、かつすべての国が参加するものであるべきである。また、ポスト京都議定書の国際枠組は、気候変動の緩和と気候変動による悪影響に対する適応の双方に等しく注意を払うものであるべきであり、各国の目標、行動計画、状況を考慮に入れたものでなければならない。
ポスト京都議定書の国際枠組は、
測定・報告・検証可能な手法を開発するものであり、それを優先事項とするものであるべきである。
イノベーションを促しエネルギー安全保障を実現するものであるべきである。特定のエネルギーや技術に関する選択肢を排除するようなものであってはならない。気候変動の緩和と気候変動による悪影響への適応に対しバランスが取れた国際的な協調行動を目指すものであるべきである。
よりクリーンな技術における長期のイノベーションや投資を実現し、支えるものであるべきである。
研究開発 (R&D) および教育・訓練への官民による資金拠出を、国際枠組における技術、資金の双方の分野の構成要素として、優先的に取り扱うものであるべきである。
検証可能な実績を残してきた技術協力やキャパシティ・ビルディングを行うための官民パートナーシップを、認識し、認めるものであるべきである。
エネルギー効率に一層焦点を当て、測定やエネルギー効率の向上や計測に関する情報・経験の共有がなされるものであるべきである。
各国におけるイノベーションを可能にする枠組に焦点を当て、非生産的な税や関税を取り除くものであるべきである。
関連する専門家や技術パネルによるキャパシティ・ビルディングやエネルギー効率向上に関するアドバイスの充実に資するものであるべきである。
APP (アジア太平洋パートナーシップ) をモデルとするような官民のパートナーシップによる技術協力を認識し、実現するようなものであるべきである。