日本経団連タイムス No.2969 (2009年10月8日)

エネルギー安全保障と気候変動に関する主要経済国ビジネス・フォーラムが共同声明採択

−9月22日、ワシントンDCで



写真提供:Mr. Ian Wagreich, U.S.Chamber of Commerce

米国商業会議所主催の「エネルギー安全保障と気候変動に関する主要経済国ビジネス・フォーラム」が9月21、22の両日、ワシントンDCで開催され、日本経団連から、環境安全委員会アドバイザーの桝本晃章東京電力顧問、JFEスチール・アメリカの安達広志事務所長が参加した。

ビジネス・フォーラムは、2月に開催された気候変動ラウンドテーブル(3月12日号既報)のフォローアップという位置付けであり、主要国から13の産業団体が参加し、共同声明を採択した。参加団体は、オーストラリア産業グループ、オーストラリア商工会議所、ビジネスヨーロッパ、英国産業連盟、デンマーク産業連盟、ドイツ産業連盟、カナダ経営者評議会、インド工業連盟、ケニア製造業者協会、ブラジル全国工業連盟、日本経済団体連合会、米国商業会議所21世紀エネルギー研究所、米国国際ビジネス評議会。

共同宣言ではまず、経済団体として、コペンハーゲンでの次の協定の合意への貢献、低炭素社会の構築への貢献を表明したうえで、ポスト京都議定書の国際枠組みについて、「野心的で達成可能でグローバルな協定に政府が合意すること」を求めた。また、「気候変動のリスクに対する科学的な理解に整合的で、すべての国における共通だが差異ある責任と能力の原則を尊重した長期の共通のビジョンを基礎とするものでなければならない」とした。

また、公平な競争条件、エネルギー安全保障、エネルギー効率の向上、技術の重要性を強調。具体的には、ポスト京都の枠組みが、「産業における公平な競争条件を確保」しなければならず、「エネルギー安全保障は、持続可能な発展の促進と気候変動への対応のための包括的な国際的取り組みの一部分」となるよう求めた。また、「エネルギー効率を高めることは、エネルギー安全保障を強化し、温室効果ガスの排出を削減する最も重要な手段である」としている。さらに、技術については、項目を設け、既存の技術の活用と革新的技術開発の必要性を訴え、環境技術の開発における知的財産権の保護の重要性を強調した。

また、一部の国が検討している温暖化対策が不十分な国からの輸入品への一方的な関税賦課等に反対する一方、WTOでの貿易のさらなる自由化を求めた。

セクトラル・アプローチについては、国際的な技術協力の強化や行動を促す方策として一定の評価を与えた。

さらに、今後も定期的な会合を開催することとし、具体的には、10月28日に、ビジネスヨーロッパ主催でブラッセルにおいて、また、12月のCOP15(気候変動枠組条約第15回締約国会議)の際にも、デンマーク産業連盟主催でコペンハーゲンにおいて開催することが合意された。

なお、炭素市場や排出量取引制度については、既存の資金メカニズムのひとつとして言及されたのみである。

共同宣言全文は、日本経団連のホームページ( http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/078.html )に掲載。

【環境本部】
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