日本経団連タイムス No.3013 (2010年9月16日)
連載記事

解説ISO26000〜社会的責任に関する国際規格<4>

−第6章の概要(上)


解説ISO26000
〜社会的責任に関する国際規格〜
  1. ISO26000入門
  2. 序文、第1章〜第3章の概要
  3. 第4章の概要
  4. 第6章の概要(上)
  5. 第6章の概要(中)
  6. 第6章の概要(下)
  7. 第5章、第7章の概要
  8. 規格の普及促進および今後の課題

今回から第6回にかけて、3回にわたり、第6章「社会的責任の中核主題」について解説する。今回は導入部分として、第6章の全体的な構成について解説する。

社会的責任に関する中核主題として、(1)組織統治(2)人権(3)労働慣行(4)環境(5)公正な事業慣行(6)消費者課題(7)コミュニティー参画および開発――の7つを挙げている。すべての中核主題は相互に関連し、補完し合うものであるが、「組織統治」の性質は他の6つの中核主題と異なり、一番基礎となる部分と位置付けられている。組織統治は、いわば組織が社会的責任に取り組むにあたっての前提部分であり、組織は、効果的な組織統治を基盤として、他の中核主題に取り組むことが求められる。


中核主題の記述のフレームワーク

各中核主題に関する記述の枠組みについては、わが国産業界からの提案が採用された。以下、同枠組みにつき、「6.5環境」を例に説明する(図表参照)。まず主題の概要(組織と環境、環境と社会的責任)が述べられている。次に、環境に関連する4つの原則((1)環境責任(2)予防的アプローチ(3)環境リスクマネジメント(4)汚染者負担)および7つの考慮点((1)ライフサイクルへのアプローチ(2)環境影響アセスメント(3)クリーナープロダクションおよび環境効率(4)製品サービスシステムアプローチ(5)環境にやさしい技術および慣行の採用(6)持続可能な調達(7)学習および啓発)を挙げている。さらに、関連する4つの課題((1)汚染の予防(2)持続可能な資源の使用(3)気候変動緩和および適応(4)環境保護、生物多様性および自然生息地の回復)を列挙しており、その後、課題ごとの主要な考慮点と組織に望まれる具体的なアクション(合計約40)を列挙している。

なお、7つの中核主題を合計すると、課題は36、アクションは400以上に達している。

すべての中核主題は、組織に何らかの関係があるが、中核主題の下のすべての課題が組織と関連性をもつわけではない。組織は、まずすべての中核主題を検討したうえで、そのなかでどの課題が組織との関連性が高いかを特定することが求められる(関連性の判断)。

課題が特定された段階で、組織は、特定された課題を検討し、どの課題が組織にとって最大の意義を有し、最も重要かを判断することが求められる(重要性の判断)。

そして、重要な課題を特定した後は、組織は、人的・資金的・時間的要件や、放置した時の影響等を考慮し、重要課題のなかでの優先順位を決めて、その課題に取り組むことが望ましいとされている。

したがって、400以上のアクションプランが記載されているが、これをメニュー・リストとして活用し、そのなかから最もふさわしいものから実行することになる。なお、アクションプランは例示であり、それ以外のアクションを実行しても構わない。

【政治社会本部】
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